沢尻エリカ容疑者が合成麻薬のMDMAを所持していたとして逮捕されました。
長年にわたり違法薬物を使用していたとのことです。
今は反省の言葉をのべているということですが、最近は本当に覚せい剤・大麻などの違法薬物関連のニュースが多いですね。
沢尻容疑者は、芸能人が薬物で逮捕されるたびに、自分も危ないかもしれない、と思っていたと話しているようですが、それでも合成麻薬をやめることができない、薬物依存症は恐ろしい病気です。
今日は薬物依存症について、特に発覚後の社会復帰について考えてみたいと思います。
薬物依存症の原因
薬物依存症については以下の記事に詳しく書いています。
今回は簡単に説明しますが、薬物依存症の原因の一つは
・薬物を摂取したこと
です。
薬物を摂取しないと依存症にはなりませんので、これは原因の一つとしては絶対にあります。
しかし、例えば依存性がものすごく高いと言われている覚せい剤だと、1回の使用で依存症になる人は3割だと言われています。
覚せい剤=一度使用したら依存症になる、というわけではないのですね。
そのため薬物依存症の原因は「薬物を摂取したこと」だけではなく、他にもあります。
・体質
・環境
なども影響していると言われています。
覚せい剤を摂取して、その人の体質によっては一度の使用でも薬物依存症になります。
一度の使用で依存症にならなかったとしても、薬物を入手しやすい環境にいたり、孤独で薬物以外に救いがなかったりした場合も、薬物に依存しやすくなります。
これらの原因が複雑に絡み合い薬物依存症になるのです。
※もちろん依存症にならなかったとしても違法薬物は一度の使用で法に触れる行為であることは変わりません
薬物依存症の治療方法
これは一つだけです。
・薬物を断つこと
これしかありません。
一生涯薬物を使用しない、ということになりますが、薬物使用の再犯率が高いことからもこれが非常に難しいことだということは分かります。
薬物は依存性も高いのでそもそもやめていくのが難しいです。
そして何より、依存症の人たちは薬物によって何らかの救いやメリットを得ていた場合が多いので、さらに難しくなるのです。
・孤独だった。薬物を使用している時だけはそれを忘れることができた
・薬物使用をしてみんなで騒ぐことでプレッシャーやストレスを発散することができた
・周囲が薬物使用をしている。自分には唯一の仲間だから自分も一緒に使用した。裏切ることはできない
などなど・・・
これ以外にもその人だけの「薬物を使用する理由」がたくさんあります。
これから薬物を断つ人たちは、
・薬物なしで人と関わり
・薬物なしで心理的な苦痛を解消し
・薬物なしで楽しい時間を過ごし
薬物なしで生きていくのです。
違法薬物となると、見たこともない方の方が多いのでイメージがつきにくいかもしれませんが、自分がこよなく愛しているもの、頼っている人、支えにしているものだと考えてもらえれば良いと思います。
薬物依存症者はそれが薬物だった、という人が多いのです。
そのため、薬物依存症の治療目標は
・薬物なしの人生を生きていくためのサポートをする
ことになるのではないかと思っています。
具体的なものとしては、薬物依存症治療プログラムを受けることが挙げられます。
まずは、薬物依存症について知識として理解して、自分がやめていくための方法を支援者と話し合うことからです(使用したい時どうする?どうまぎらわす?などを考えるのもこの中に含まれます)
依存症の治療は生活全般を変化させていく必要があるので、仕事、余暇の過ごしかた、人との繋がり、家族支援なども行います。
もちろん、売人との関係を切ったり、薬物を入手しやすい環境から遠のいたりするのも大切ですし、心を健康的にするためにストレス対処法を学ぶ、なども場合によっては行います。
いずれにせよ、自分一人ではやめられないので、家族の協力が大切ですし、治療者と繋がり続けることも重要です。
薬物依存症の社会復帰
他の依存症とは異なり、薬物依存症者は「犯罪者」というイメージが強く、社会復帰が難しい現実があります。
もちろん、違法薬物使用は犯罪です。
しかし法的な罪を償った後に、その人の意思だけで薬物をやめ続けるのが難しいことは先ほど触れました。
再犯を防ぐためにも、社会復帰を支援していくことは必須です。
これは芸能人でも一般人でも同様で、その人に合った社会復帰支援がないと、薬物依存症を克服していくことは難しくなります。
一般的には治療を継続しながら、仕事や治療プログラム、デイケア、家族、友人、などの社会的な繋がりも作っていくこととなります。
経済的な問題があればケースワーカーや相談員の支援も必要でしょうし、心が苦しい場合は心理士の支援が入ります。
孤独でお金も仕事もなく、生活が乱れていれば再発のリスクは当然高くなります。
治安の良い場所に引っ越し、部屋を清潔に保ち、規則正しい生活をして、経済的にも困窮しないように支援を受け、治療プログラムや診察に通い、社会的な繋がりも持つ、これが治療の基本となる土台です。
自助グループももちろん効果的です。
同じ体験をした人たちが集まり、体験談を語る場所ですが、薬物だとダルクが有名ですね。
ダルクは通所もあれば入居して施設で共同生活をしながら薬物をやめていく、という方法を取ることもできます。
ずっと刑務所にいたり入院をするわけにはいかないので、このように社会で生活をしながらやめ続ける、という方法をその人に合わせて考えていくのです。
おわりに
薬物依存症者は「怖い」「犯罪者」などのイメージを持たれやすく、社会復帰が難しいのですが、薬物は社会的な犯罪でもあります。
誰かに声をかけられて薬物使用に至るわけですから。
薬物使用をなくしていくこと、それと同時に立ち直ろうとしている人たちを受け入れる社会を作っていく必要性を感じます。