元タレントの田代まさし容疑者が薬物使用で逮捕されました。
今回の逮捕で5度目の逮捕です。
ダルクでも活躍して、全国で薬物依存症に関する講演を行うなど精力的に活動していましたが、改めて薬物依存症の怖さを思い知らされます。
依存症というのは本当に再発の多い病気です。
実際に使用するのは本人なので、本人の意思の弱さや性格的なものが問題だと勘違いされがちですが、依存症は脳の病気なので本人の意思が弱いから再発するのではありません。
- これで薬物依存症の原因が分かる!ラットパーク実験知っていますか?薬物と孤独の関係を証明した有名な実験を紹介!
- 「薬物を止め続ける」ということ
- 「薬物のない人生」を生きる
- 薬物依存症 再発・再使用すれば終わり?
- おわりに
薬物依存症については以下の記事に詳しく書いています。
薬物依存症の理解は「ラットパーク実験」が一番分かりやすいと思います。
これで薬物依存症の原因が分かる!ラットパーク実験知っていますか?薬物と孤独の関係を証明した有名な実験を紹介!
薬物依存症は薬物の依存作用によってやめられなくなる、という印象が強いかもしれません。
確かに覚せい剤の依存作用は強いので、それも影響はあります。
ただ、覚せい剤を使用して1回で中毒になる人は実は非常に少ないのです。
薬物依存症は単純に薬物の依存作用だけではなく、その人の環境が社会復帰に大きく影響します。
依存症治療の専門家や支援者、家族、友人、当事者との繋がりがあるかどうか、ここが大きく影響します。
しかし、環境を整えて、依存症に関する知識も勉強して、意思も強く持っていても、ある時、ふと再発してしまう、それが依存症です。
「薬物を止め続ける」ということ
何かを一生涯続ける、というのはとても難しいことです。
私たちは期間とゴールが明確だとモチベーションを維持できますが、「一生」と言われると気がめいります。
ある薬物依存症患者様がこんなことを言っていました。
「このまま止め続けて、10年たったから大丈夫、とかじゃない。止め続けて死んだ時に、ようやく止められた!って言えるんだと思う」
まさにこれが依存症治療。
一生涯続く取り組みなのです。
「薬物のない人生」を生きる
薬物のない人生、と聞いても薬物を使用したことがない人はピンとこないと思います。
だけど、自分の心のよりどころであり依存対象でもある薬物を今後止め続ける、ということはとても大変なことだ、というのは想像できるかもしれません。
いつもどこかで空虚な思いを抱えている、再発の不安におびえている、その不安を薬物で紛らわせたくなる、でも止め続ける、まさに薬物のない人生を生きるのです。
薬物依存症 再発・再使用すれば終わり?
薬物依存症は再発するたびに周囲からの信頼がなくなります。
本人が頑張っていたことはみんな分かっていても、どうしても「あれだけ応援したのに」と失望してしまうのですね。
本人も自分が情けなくなりどんどん孤立します。
しかし、依存症治療は再発、再使用した時が治療の失敗ではありません。
依存症治療の目的は「治療に繋がり続けること」です。
再発、再使用をしても、もう一度治療を始めることができれば、そこからリカバリーができます。
周囲も当事者も諦めないこと、人との繋がりを切らずに見捨てないことが大切です。
おわりに
逮捕された田代まさしさん。
とても苦しかったと思います。
もちろん覚せい剤の使用は犯罪ですので、今は田代容疑者です。
だけど、罪を償った後は、またリカバリーのために再出発ができれば良いな、と思っています。