認知行動療法(CBT)という言葉を聞いたことがある方は、ずいぶん多くなってきたと思います。
認知行動療法はカウンセリング(心理面接)の手法の一つで、人の考えや行動に注目している療法です。
同じ出来事でも人それぞれ捉え方が異なると思います。
物事の捉え方が異なれば、取る行動も異なります。
なんだかネガティブな考え方をする人、ものすごい前向きな思考の人、色々な人がいますが、同じような環境、状況にいるのに、一方は鬱になり、一方は元気に過ごしている、というのは、この考え方(認知)と行動が人それぞれ違うことから起こります。
考え方に正しい、正しくない、というのはありませんが、かたくなに一方的な考え方しかできなかったり、物事を一側面でしか見られなかったりすると、やはり精神的な健康度は高く保てません。
そこで考え方を柔軟性のあるものにしたり、行動を変化させていき、落ち込みや不安を軽減させていく方法が認知行動療法、というわけです。
今日は日常で使える認知行動療法について紹介していきます。
日常で使える認知行動療法のテクニック~泣き叫ぶ子ども編~
日常で使える認知行動療法はシリーズ化してお伝えできたら、と思っています。
今日は「泣き叫ぶ子ども」への対応を認知行動療法で考えていきます。
ケース①スーパーで泣き叫ぶ子どもへの対応
子育て中のお父さんお母さん、毎日お疲れ様です。
お子さんをスーパーに連れて行った時に、お菓子やおもちゃをねだられることありますよね。
もちろんたまには買ってあげたいと思いますが、毎日ねだられたり、ダメだと言ってもなかなかあきらめてくれなかったり・・・そんな場面ありませんか??
そんな時におすすめの方法を紹介します。
まず、お子さんの年齢に合わせて「約束」をします。
・お菓子は週末の買い物の時に買えるよ
・100円だけ買えるよ
・お父さんと一緒の時だけ買えるよ
などです。
この約束をする、という行為はとても大切です。
小さなお子さんは、どんな子どもであってもまだ心が十分に育っていませんから、考え方は自分中心的です。
「お菓子は自分が欲しい時に買える」という視点しかないところへ、「約束した」という視点を入れてあげることからスタートです。
しかし約束しても当然守れません。
そこで作戦第二弾です。
お子さんはあらゆる手を使ってお菓子を買ってもらおうとするかもしれません。
まずは「約束は?」とヒントをあげましょう。
そこでお子さんが「あ、約束してたんだ」と気づけた場合は、思いきり褒めてあげます。
しかし約束をしたことを思い出しても、だだをこねている場合、「反応を返さない」というのが一番良い手段です。
この「反応を返さない」というのはなかなか難しいのですが、「無視をする」とは違います。
無視をするのとお子さんは傷つきますからね。
例えば、泣き叫ぶお子さんをきちんと見つめながら「約束したよね」と静かにつぶやく、こんな感じです。
大事なのは「動揺をしないこと」です。
自分が泣き叫んだ結果、母親が動揺している、となると「お、もう少しでいける」となるからです。
自分がいくら泣き叫んでも母親は動揺せず怒りもせず立っている、となると「無理か・・・」となる可能性が高くなります。
そして何より大切なのは「根負けして買わない」ことです。
これをすると今後はお菓子を買い続けないといけなくなります。
「泣いて叫んだらお菓子を買ってもらえる」ということを学んだお子さんは、今後もお菓子を買って欲しい時は泣き叫びます。
ちなみに、最初の頃はお子さんの癇癪がいつもよりも激しくなります。
これは「バースト」と呼ばれる現象で、最初の頃に必ず起こるので耐えることが必要です。
バーストを耐え抜いて反応を返さないことを続けると、次第に泣き叫ぶ、という行為はなくなります。
このバーストは何回でも継続する場合がありますが、こちらが一貫した対応を続けていくことで必ず収まります。
そしてこれもすごく大切なのですが、約束通り我慢できたとき(多少だだをこねても我慢できた時)これでもか、というくらい褒めることです。
約束を守ると褒めてもらえる、ということを覚えてもらうためです。
そしてこちらも約束を守る責任は生じます。
週に一回買う、と約束したなら週に一回は買ってあげないといけません。
と、一気に説明をしましたが、実際はここまで上手くはいきません。
ただ、「悪い行動には反応を少なくし」「良い行動には思いきり褒める」というのは使っていけそうです。
これは「スーパーでだだをこねる」という場面だけではなく、どんな場面にも応用可能です。
まずは「約束をする」のと、「守れた時に大げさなくらい褒める」というのを導入してみてはいかがでしょうか。
約束をする時は、お子さんにも分かる言葉でお子さんも納得した内容で約束することがコツです。
約束したことをお子さんと一緒に紙に書くなどするとさらに良いですね。
本来認知行動療法はカウンセリング場面ではなく日常生活で使用するものです。
どんどん使いこなしてみて下さい。
今までできなかったコミュニケーションができたり、新しい考え方に出会えるかもしれません。