旅ごころブログ🐒

心理カウンセラーをしている筆者が心理学の知識を紹介するブログです。趣味の旅行で行ったおすすめスポットや飲食店の紹介もしていきます。

「直撃LIVEグッディ!」でハトへのエサやり運転運転手直撃!このニュースから学ぶ行動療法 なぜハトは車を追いかけるのか!?

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今朝の「直撃LIVEグッディ!」で車を運転しながら鳩に餌をまいている男性の映像が流れました。

「エサやり運転」として防犯カメラの映像が公開されていましたが、朝方に黒い車がエサをまきながら走り去り、その車の後を大量の鳩が追っている、というものでした。

 

あ、あぶない・・・

 

いったい何でそんなことを・・・

 

近隣住民は、鳩の鳴き声や糞に悩まされており、何とかしたいと思いつつも車はすぐに走り去るため注意もできずに困っている、とのことでした。

 

グッディの記者がその男性を直撃していました(いつも思いますが、直撃記者さんすごいです・・・)

「どうしてエサをまくんですか?」

「迷惑していますよ」

と直撃すると、男性は

「すいません。やめます」

と答えていました。

 

結局翌日から鳩のエサやりはなくなりましたが、その後も鳩はエサをくれる車以外の車にも群がっており、事故になりかねない危険な状態は今も続いている、との内容を放送していました。

エサやりをやめて1週間たっても、ハトが車を追いかける行為は継続中とのこと・・・

 

うーん。

男性がいったいなぜこんなことをしたのかは本当に不明ですが、ハトが「エサやりをやめても車を追いかけ続ける行動」は「行動療法」という心理学の理論から説明ができます。

 

今日はこの「ハト事件」を行動療法の理論で考えていきたいと思います。

 

 

「直撃LIVEグッディ!」で鳩へのエサやり運転の運転手直撃!ハトの行動分析

まず「エサやり運転」をしていた運転手がハトにしたことと、その後のハトの行動について整理していきます。

 

①運転手が朝の5:00すぎ、車の運転をしながらハトに餌をまく

→ハトはエサを求めて車を追いかける

 

②平日の朝方に毎日同様のことを繰り返す

→ハトはエサを求めて車を追いかけ、時間の前後になると車が来る場所に集まるようになる

 

③運転手がエサをやるのをやめる

→ハトはエサやり運転手の車ではない車のことも追いかけるようになる

 

④運転手がエサやりをやめて1週間経過する

→ハトの車追いかけは継続中

 

これが一連の流れです。

 

行動療法の理論①強化

まずは行動療法の基本「強化」についてです。

①にある、「運転手が運転をしながらエサをまく」という行動の中の「エサをまく」というのは「強化」と呼ばれます。

 

運転手が運転しながらエサをまくと、ハトはエサ欲しさに車を追いかけます。

車を追いかけることでハトはエサにありつけます。

ハトは「車を追いかけるとエサが手に入る」ということを覚える(学習する)のです。

 

強化とは「刺激と反応を結びつける手段」と説明されますが、要は「ある行動を覚えさせたい時に、嬉しい出来事を一緒に提示すること」です。

 

例えば子どもにお手伝いを勉強させたい時に、お手伝いをすると毎回褒める、またはお小遣いをあげる、など子どもにとって嬉しい出来事を体験させることで、「お手伝い=良いことがおこる」と学習させ、お手伝いを習慣化していく、というものです。

 

ハトはエサを与えられることで、「車を追いかける」という行動を強化されたわけです。

 

行動療法の基本②般化

次に「般化」についてです。

 

ハトはエサをくれる車以外の車のことも追いかけるようになりました。

これはまさしく「般化」です。

 

般化とは「ある刺激に対して特定の行動が出るようになった後、似た刺激にも同様の反応を起こすようになること」と定義されています。

 

今回の事件で言うと、特定の行動とは「車を追いかける」ことで、似た刺激とは「エサやり以外の車」のことですね。

 

例えば、子どもが家でお母さんにおはようの挨拶ができるようになった後に、幼稚園の先生にも幼稚園でおはようの挨拶ができるようになる、という感じです。

 

般化は臨床現場ではとても大切な理論です。

心理士は患者さんと一緒に社会的なスキルを訓練する場合もありますが、その時に、訓練場でだけできて外に出ると習ったことがまったくできない、では困ります。

外に出ても場面や人が変化しても、身に着けた技術を使えるようになるには、この般化の理解が不可欠です。

 

行動療法の基本③消去とバースト

さて、最後に消去についてです。

今回の事件では、ハトへのエサやりがなくなって1週間たってもハトが車を追いかける行動は止まりませんでした。

 

このように、やめて欲しい行動やめたい行動(ハトが車を追いかける、など)を起こらないようにすることを消去と呼びます。

 

消去をするためには、基本的には「強化をしない」ことが重要です。

この場合「エサをあげない」ことです。

しかし少しくらいエサをあげなくてもハトはまだ「エサをくれる」ことを覚えているので、しばらくは行動は変化しません。

エサをあげずに数か月たつと、「ハトが車を追いかける」という行動は消去されます。

 

ただここで一つ注意したいのが「バースト」の存在です。

行動が消去される前に一度ものすごい抵抗が起こるのですが、これをバーストと呼びます。

 

例えば、知的障害を持つ子どもの「ジュースを買って欲しい時に親を叩く」という行動を消去したい場合、親は子どもが泣いてもわめいても叩いてきても、とにかくジュースを買わない、という行動を続けます。

 

そうすると次第に「泣いてもわめいても叩いてもジュースは出てこない」ことを学びます。

その変わり、お手伝いをした時にはジュースを毎回あげる、など「良いことをする=ジュースがもらえる」というのを覚えてもらったりします。

 

ただ、最初は「泣いてもわめいても叩いてもジュースを買わない」という行動を親が取ると、一時的に子どもの癇癪は悪化します。

これを心理学では「バースト」と呼んでいます。

 

このバーストに驚いてしまい、ジュースを買ってあげると「ジュースを買って欲しい時に親を叩く」という行動はより強く強化されるので注意が必要です。

 

ハトの場合も、しばらくは車の追いかけが執拗になるかもしれませんね。

それでもエサをあげない、というのを徹底していればハトの車追いかけ行動はなくなりますが、このタイミングで誰かが再度エサをあげてしまうと・・・

恐ろしいですが「ハトが車を追いかける」という行動はさらに強く強固に強化されてしまいます。

 

 

行動療法の悪用!?

よく行動療法の本などを買って読むことで、他者を思いのままに操れるのではないか、と行動療法が悪用されるのでは、と聞かれることがあります。

 

しかしこれは可能性は低いのではないかと考えています。

 

子どもをしつける時に、良い行動には思いきり褒めて(強化して)悪い行動には反応を返さない(消去する)、くらいは日常で行えると思いますが、行動療法の理論だけで人を操ったりコントロールすることは不可能です。

 

心理学にはそんな力はありません。

心理学で使用する「催眠」だって短時間で限定的な効果しかありません。

 

悪用というと・・・例えば犯罪を覚えさせる、とか、自分を好きにさせる、とかでしょうか。

こんなことはできるわけがないですよね(笑)

 

ただ、夫婦カウンセリングの中で、お互いの気持ちが離れてしまったけどまた夫婦としてやり直したいという夫婦が、お互いの同意のもと行動療法を行うことで、お互いへの愛情を取り戻す、というのはもしかしたらできるかもしれませんね。

もちろん犯罪を覚えさせる、ということも、生まれた時から監禁して犯罪のみの情報を与えて養育すると、犯罪行為を自然と行うようになるかもしれませんが、それは行動療法だけでは不可能です。

 

 

さて、今日は今朝のニュース「エサやり運転」から見た行動療法の理論を解説しました。

行動療法は上手く使うと、めんどくさいけどしないといけないことを(掃除とか)習慣化させるのに使えたり、やめたい行動をやめる(禁煙とか)ための補助として用いることができます。

もしも反響が大きければ今後も行動療法について記事にしていきたいと思います。