旅ごころブログ🐒

心理カウンセラーをしている筆者が心理学の知識を紹介するブログです。趣味の旅行で行ったおすすめスポットや飲食店の紹介もしていきます。

結婚生活が苦しい…から抜け出す、発達障がいを持つ配偶者との生活のポイント

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発達障害は今でこそ世間に認知が広まっており、早期に発見することができるようになってきていますが、一昔前までは知的に問題がない発達障害は「変わった人」「本人の努力不足」と言われてきました。

そのため、幼少期に診断を受けずに大人になり始めて発達障害が発見されるケースは少なくありません。

私は臨床をしていて、大人のかたで発達障害の特性で困っている方に多くお会いしますし、自分の配偶者が発達障害で関わり方が難しいと悩んでおられる方にもお会いします。

 

 

配偶者がアスペルガー症候群ADHDであった場合、家事や仕事を協力し合えなかったり、情緒的な交流が持てなかったり、といった問題が比較的起こりやすくなります。

下記 の記事はアスペルガー症候群の配偶者と、情緒的な交流を持てないことで心に傷をおっている方たち(カサンドラ)について書いた記事です。

www.ntan.work

 

 

今日はもう少し詳しく、具体的なケースをあげながら「発達障害を持つ配偶者との関わりの工夫」について書いていきたいと思います。

 

 

 

 

発達障害を持つ配偶者 環境調整は?ユニバーサルデザインの視点

発達障害と一言で言っても、今は診断名が自閉症スペクトラムとまとめられているくらい個人差がある障害なので、これをすれば良い、というものはなかなか言いにくく、実際に相談場所に行くのが一番なのは間違いありません。

 

 

しかし、その中でもユニバーサルデザインの視点は一つ有効ではないかと思います。

 

 

ユニバーサルデザインとは、バリアフリーのように障害を持つ人が使用しやすいように配慮されたものではなく、「障害の有無、性別、年齢など関係なく、できるだけ多くの人が利用できるようにデザインしたものです。

 

 

発達障害のある配偶者のために整備された家庭環境は、健常者にとってもすごしやすいのは間違いありません。

実際に生活をしていると、発達障害の度合いにもよりますが、ADHDの方はうっかりさんが多いですし、アスペルガーの方は変わった行動をすることは確かに多いでしょうし、「あの人の気持ちなんか分からない!」と思われているかもしれません。

そのような場合、まずは「自分が心地よい空間」「誰もが過ごしやすい家庭」を意識してみてはいかがでしょうか。

例えば以下のようなことです。

 

・家中の物が少なく、ごちゃごちゃしたものは同じ色の布で目かくしされている

 

・睡眠が十分にとれる生活リズムを保っている

 

・家族の予定(夕食がいらない日、出張などで家にいない日、家族で出かける日)が把握できている

 

・照明と音の使い方が適切(夜が深まれば電気は優しい色で光を落とし、朝はカーテンを開けて日光を入れている、朝は夜遅くまで携帯ゲームやテレビの音がなっていない、など)

 

・使えるお金の上限が決まっている

 

などです。

 

誰でもそうだと思いますが、ごちゃごちゃと物の多い家では落ち着きませんし、睡眠が取れていないと調子を崩します。

家族の予定が分からないと家事をする時に困りますし、使えるお金の上限が決まっていないとついつい作りすぎてしまいます。

 

これらは「誰でもそう」なのですが、発達障害を持っていると、普通よりもさらにこれらのことが心身の状態に影響します。

例えばADHDの人は、物の多い部屋やテレビがずっとついている部屋では物事に集中できず、家事をこなすことがより一そう難しくなります。

アスペルガーの人は過眠傾向にあるので、睡眠時間を確保できないと受けるストレスが非常に大きいです。

だけど上記にあげた内容は、健常者にとっても心地よいことは間違いないですよね。

発達障害の配偶者に特化した空間やスケジュールを意識しなくても、家族にとって心地よい空間やスケジュールにしていければ、発達障害の傾向が悪い方向に傾きにくくなるんです。

 

 

これが私が推奨するユニバーサルデザインの視点です。

 

忙しい毎日で環境を調整する時間がなかなか取れないかもしれませんが、不用品を捨てる、1日10分の掃除を習慣にする、家族のラインで予定を共有できるようにする、テレビを見る時間を決める、などできるところから始めてみて下さい。

 

 

発達障害のある配偶者と話し合い工夫したケース

次に実際のケースを紹介します(個人情報保護のために複数のケースを組み合わせています)

 

 

相談者のAさんは30代女性、同じ年齢でアスペルガー症候群の旦那様と2人で相談に来られていました。

Aさんと旦那様との間に起こっている問題は以下の通りでした。

 

・旦那様がAさんに自分の予定を伝えるのを忘れてしまう

・Aさんがしんどい時でも家事を手伝ってくれない

・話し合いができずにAさんが気持ちをためこんでしまう

 

 

他にもいろいろとあったのですが、まずは手がつけられやすい部分から解決していくことになりました。

 

まずアスペルガー症候群の特徴ゆえに、旦那様に悪気はなくても夫婦間で問題が起こっていることを共有しました。

アスペルガー症候群の人は、相手の考えていることを想像することが苦手なので、はっきりと言葉にしないと読み取れない傾向があります。

また同時に2つ以上の物事をこなすことが苦手な部分もあります。

そのため以下のような対策を3人で考えて共有しました。

 

・お互い予定が入ればすぐにラインに流し、共有できるようにする(家に帰って伝える、となると忘れてしまうため)

 

・Aさんが疲れている時は旦那様に何をして欲しいかを具体的に伝える(疲れているからお皿を洗って欲しい、疲れているから食事は外食にしたい、など)

 

・話し合いをする場合は、事前に時間を2人で決めて、話し合う内容を明確にする(明日の夜に家計簿を一緒に見て赤字を解消するための話し合いをする、など)

 

まずはこの3つを共有しました。

すごく難しいことではありませんが、この3つを守るだけでも生活のしやすさはぐんとアップします。

この面接の3週間後に再度面接を行い、決めた工夫が上手くいったかを確認しました。

すると以下のような返事が返ってきました。

 

Aさん

・旦那様が何も言わなくてもお皿を洗ってくれたことが何回かあって嬉しかった

・疲れているから外食をしたい、と伝えた日の夜に「疲れているの?大丈夫?」と聞いてくれた。ねぎらってくれているのが嬉しかった

・出張などの予定が入ればラインをくれるようになった

・話し合いはまだ苦手なようだ

 

 

旦那様

・Aさんが疲れている時にお皿を洗うとお礼を言われた。お皿を洗うと喜ぶのだと思いお皿を洗うようにした

・疲れている、とはっきり言われたので、Aさんの状態が分かりやすかった。前まではなんで不機嫌なのかが分からなかったから。

・話し合いは言葉にするのが苦手なので難しい。相手が怒っていると話しが入ってこない

 

 

Aさんも旦那様も、工夫をした点に関して効果を感じる面と難しさを感じる面の両方あったようです。

 

 

この事例で分かるように、「察して欲しい」というのはお互いにとって良い方法ではないですよね。

旦那様はAさんが「疲れているのでお皿を洗って欲しい」とはっきりと伝えた時には、お皿を洗っていますし、それでAさんが喜んでいるのを見て、「疲れた時はお皿を洗うと相手は助かるようだ」ということが分かったのです。

だからこそ時々自発的にお皿を洗うようになったわけです。

また、「疲れているから外食にしたい」とAさんが伝えた時は、「疲れていると言っていたけど大丈夫だろうか」と思いAさんにねぎらいの言葉をかけたわけですね。

これは非常に良い変化だと思います。

Aさんがそこで喜びを旦那様に素直に表現したのもとても良かったと思います。

喜びを表現する時にも、はっきりと「嬉しい。ありがとう」と伝えるのは効果的です。

 

 

話し合いに関しては、まだ時間と工夫がいるようです。

アスペルガーの方は話し合い、というよりも感情的なやりとりが苦手です。

夫婦での話し合いは感情が出やすいので、旦那様は苦手意識があるようです。

話し合いをする際には以下のような工夫がおすすめです。

 

・感情的になりそうになったら一旦中止し、珈琲を淹れるなどタイムラグを作る

 

・家の中ではどうしても感情的になる場合はカフェなどで話し合う

 

・お互いの思いを紙に事前に書いておく

 

・時間を決めて話し合い、時間がくれば一度話し合いを終了する

 

・解決しなければいけない現実的な問題と、相手に聞いて欲しい自分の感情の2つあることを共有し、1つずつ伝えていく(例えば浮気が発覚したから今後夫婦関係を継続していくのか話し合いをする必要がある、という現実的な問題と、浮気をされて自分はとても悲しくて傷ついた、という感情の問題は一度切り離して話す。決めなければならないことは決めた上で、自分の感情をケアして欲しいことも伝える)

 

 

Aさんと旦那様は月に1度程度相談を継続し、1年が経過した頃には家庭でのいざこざはほとんど収まり、何か問題が起こっても2人で解決できるようになったため、相談を終結しました。

 

 

さて、ここまで読んでいただくとお気づきかもしれませんが、今まで書いたことは発達障害の有無に関係なくどの夫婦でも大切な工夫です。

しかし、発達障害がある人との間だと、問題が強く出やすいのです。

今日紹介した工夫の中で、取り組みやすそうなものから取り組んでみて下さい。

発達障害がある配偶者との間では特に役に立つでしょうし、そうではない夫婦の方にも役に立つかもしれません。

ここでもユニバーサルデザインの視点で考えられますよね。

 

おわりに

夫婦というのは他人から家族になるという、ある意味特殊な関係性です。

相手に障害や病気があれば、その難しさは強く派手に出る場合もあります。

それでも結局は、色々と工夫してお互い協力していくほかありません。

 

発達障害の特性を理解した上での工夫になるので、困り感を感じている方は相談をしていただいた上で、夫婦で話し合う、という方法をおすすめしています。

 

夫婦は2人そろって夫婦です。

1人で抱え込まずに共有することが何よりも大切なのだと思います。