みなさん普段運動はしていますか?
運動の持つ精神への良い効果はたくさんの研究で実証されていますが、運動を習慣化することは難しいものです。
精神科領域でも運動を推奨しており、OTの時間やデイケアでは軽スポーツや散歩、筋トレ、ヨガなどを実践しているところは多いです。
今日は私が実際に経験した、精神科領域でどのように運動を習慣化しているのか、そのやり方と効果を書いていきます。
精神疾患をお持ちの方で運動を習慣化させたい方や、精神科などで働いていて、運動系のプログラムを計画中の方、精神と運動の関係を知りたい方などにおすすめの記事になります。
精神科領域で運動が推奨されるのはなぜか?
まず、精神科領域で運動が推奨されているのはどうしてなのでしょうか。
以下のことが考えられます。
・神経伝達物質が増える
運動をすることで、神経伝達物質の分泌が増えることはよく知られています。
中でもセロトニンやエンドルフィンが活性化され、気持ちがポジティブになったり、集中力が高まったりします。
特にウォーキングやジョギングなど、リズム運藤を行うことで分泌を促すことができるのでおすすめです。
神経伝達物質は、うつ病との関連が深く、うつ病の予防や改善に期待できますしね。
・体力がつく
精神疾患を患うと体力が低下することがとっても多いです。
長期入院になる方は、入院中に動く機会が激減し肥満や体力低下は深刻なものになります。
家に引きこもりになりがちですし、どんどん身体が弱っていきます。
精神疾患の治療をする上で、リハビリテーションの時期に運動をし、体力を回復することは社会復帰には大切なことです。
体力の低下が激しい場合はまずは散歩やストレッチ、ラジオ体操などから始めてみても良いですね。
・夜に眠れるようになる
精神疾患を患った時に、気を付けないといけないのは生活の乱れです。
中でも昼夜逆転になることは避けたいのですが、これは本当によくなります。
薬の副作用で朝が起きられず、昼過ぎまで寝てしまうという方もいますし、日中活動の場がなくて、昼にごろごろしているから夜に眠れないという方もいます。
昼に身体を動かすことで夜眠りやすくなるので、昼夜逆転の解消法としても運動はおすすめです。
・人とのコミュニケーション手段となる
スポーツチームなどに所属した場合、チームメイトとの関係性が生まれます。
普段孤立している人はもちろん、もっと友人を作りたい人、社会的なつながりが欲しい人などはスポーツチームで運動をするのは役に立つかもしれません。
最近は精神障害者スポーツも活発になってきています。
活動場所も増えていっていますよ。
ストレス発散になる
精神疾患を持ちながら生活をする場合、普通よりもさらにストレス発散をしていく必要があります。
運動は楽しくやれれば最高のストレス発散になります。
リズム運藤だけではなく、スポーツをやってみても良いかもしれません。
精神科デイケアでの運動療法
私は社会人になったばかりの頃、精神科クリニックのデイケアで働いていました。
そこで色々なプログラムをやりましたが、運動系のプログラムも積極的に行っていました。
どんなものがあったか紹介をします。
・散歩
昼食後には毎日散歩に行っていました。
誘い合って行くので全員ではありませんでしたが、ダイエット目的の方、眠気覚ましの方、気分転換目的の方、おしゃべりを楽しみたい方など、それぞれの目的がありました。
・スポーツセンター
月に2回スポーツセンターを予約し、希望者でスポーツをしに行っていました。
バレー、ドッチボール、バトミントン、など参加者で話し合い競技を決めていました。
これは毎回非常に盛り上がり、試合をしたりして楽しんでいました。
体力に自信のない方が、昼食後の散歩に毎日参加をされ、3か月ほど散歩を継続し、勇気を出してスポーツセンターでのプログラムに参加をされた、ということもありましたね。
・ヨガ
ヨガ好きなスタッフが月に2回行うプログラムでした。
肩こりがひどい方や姿勢が悪い方も多く、そういう方が好んで参加されるほか、リラックスを求めて女性に人気のプログラムでした。
これの他にも毎日昼食の散歩後には10分間のストレッチを行っていました。
継続することでどんどん身体が柔らかくなっていくので、患者さんも喜んでいましたね。
精神疾患の治療の中に、身体の状態をコントロールすることで気持ちも楽になる、ということを体験する技法もありますし、ヨガやストレッチはリラクゼーションの観点からも大切なプログラムなのかもしれませんね。
・筋トレ部
男性スタッフの作ったプログラムで、部員はなかなか多かったのを覚えています。
その人に合わせた筋トレを相談してやっていたので、若くてエネルギーのある方から高齢の方まで幅広い方が参加していました。
週に2回20分の開催でしたが、継続すると周囲から見ても効果が表れている方もいましたよ。
この他にも患者様の希望で「ビリーズブートキャンプ」に入隊してみたり、AKBのダンスを練習してみたり、小さなクリニックで運動設備もないなか、工夫して運動を取り入れていました。
感覚としては、気力低下や仲間を作る、という意味ではとても効果的かな、と思います。
難しいのが肥満の改善、予防ですかね。
食事も大きく影響するぶん、プログラムの中の運動だけではなかなか・・・
ただダイエットを目標にされる方は多かったので、意識づけにはなっていたのかなと思います。
このように、誰にでも良い効果のある運動ですが、精神科領域でも積極的に取り入れられています。
精神科領域の治療は病気の治療がある程度落ち着いてきたら、人間らしく豊かに生活をするためのリハビリテーションが始まります。
運動をして汗をかき、ストレス発散をしたり身体を整えたり、リラックスをしたり・・・
リハビリテーションに運動はぴったりです。
もちろん、どのような人たちにとっても心の調子を整える上で運動は効果的ですので、ぜひ習慣にしてみて下さいね。