旅ごころブログ🐒

心理カウンセラーをしている筆者が心理学の知識を紹介するブログです。趣味の旅行で行ったおすすめスポットや飲食店の紹介もしていきます。

本当は怖い集団心理学 エスカレートするいじめ、職場で横行するパワハラ・・・集団で起こる判断の誤りとは?

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「集団」というものは私たちに「所属感」という安心を与えますが、時に集団ゆえの恐ろしさが垣間見えることもあります。

 

・夜中に大声で助けを呼ぶ声と銃声を何人もの住人が聞いていたのに、誰も通報をしなかった

 

・クラスでのいじめがどんどんエスカレートしていくが、いじめ被害者が悪い、という認識がクラスで認められている

 

介護施設などで虐待が隠ぺいされる

 

このような状況を聞いたことはありませんか?

人間は社会的な生き物であり、「集団生活」を非常に重視します。

それゆえ一般的に考えればどう考えてもおかしいと思うことでも、 判断を誤ったり、罪悪感を感じにくくなったりする、ということが起こります。

これはいったいどうゆうことなのでしょうか。

 

今日は集団心理について紹介していきます。

 

 

 

集団遂行

個人が何らかの作業を行う際に、一人で行う場合と比べて、他者がいることによってその遂行量や作業速度が変わることがあります。

 

社会的促進

他者がそばにいると一人の時と比べて遂行成績が上昇する現象を指します。

他者が自分と同じ課題を行っている場合だけではなく、観察者がいる場合にも起こります。

 

社会的抑制

社会的促進とは逆のパターンですね。

他者の存在によって遂行成績が抑制されるパターンです。

 

社会的手抜き

集団で課題を遂行する際に、自分一人くらい手を抜いても構わないとして、努力量を減らす現象を指します。

社会的手抜きを低減させるための施策には、①個人の課題への貢献度の判別、②個人の課題への貢献度の評価、③メンバーの関与、④課題の魅力を高めること、が挙げられます。

 

集団で同じ作業をする場合は、頑張っている人を正しく認識し、貢献度を認め、メンバー同士で助け合うこと、そして魅力的な仕事を提供すること、を行うことで社会的手抜きを阻止できる、というわけです。

 

 

集団意思決定

三人寄れば文殊の知恵・・・という言葉がありますが、実は集団状況では個人状況と比べて、意思決定の質や量が劣ってしまう場合もあります。

 

集団極性化

集団で討議をした場合、個人の考えがより極端なものに変化する現象です。

「自分の意見が会議で採用されたけど、そこまで極端なことを言ったつもりはないのに・・・」という経験はありませんか?

より過激で危険な方向へ結論が向かう「リスキー・シフト」と、安全性が高く無難な方向へ結論が向かうコーシャス・シフトがあります。

 

集団思考(集団浅慮)

集団思考とは集団討議によるおろかで誤った決定を指します。

集団思考は個人をその集団へとどまらせる力である「集団凝集性」が高い集団において特に認められやすいと言われています。

凝集性の高い集団ほど、外部とのコミュニケーションが希薄になるため、重要な情報を適切に処理し損なうことから生じるとされています。

 

 

以前知り合いのクリニックの院長先生が、自分のクリニックは小さなクリニックでスタッフも少ないので、院内の会議だけではなく月に一度は院外の勉強会や事例検討会へスタッフ全員(院長先生も)参加するようにしている、と話されていました。

 

そうしないと自分たちの仕事を客観的に見ることができなくなるから危険だ、とのことです。

 

そのクリニックは実習生や研修医、見学者なども積極的に受け入れているクリニックで、常に第三者の目を入れる工夫をされていました。

 

患者様からも人気のある良心的なクリニックで、スタッフの方も生き生きと仕事をされていましたが、それはこのような集団心理を院長先生が理解され、対策をされているからなのだと思います。

 

 

内集団びいき

ある集団にしばらく所属していると、その集団に対して愛着や帰属意識がうまれます。

個人がその集団に所属しており、「ウチ」と認知する集団を内集団、個人が所属しておらず「ヨソ」と認知する集団を外集団といいます。

外集団よりも内集団に対してより望ましい属性を認知する、より高く評価する、優遇する、といった内集団びいきが生じるようになります。

この内集団びいきは以下のように考えられています。

 

心理学者のタジフェルは、実験によって、些細な基準によってグループ分けされたにも関わらず、人は自分に現実的な利害がなくても、内集団成員に対して有利に働きかけることを明らかにしています。

 

これは所属する集団の成員である自分への肯定的な評価を得るために、外集団と比較し、内集団を優位に位置づけようと動機づけられる結果、内集団びいきが生じると考えました。

 

このような内集団と外集団の葛藤の軽減のためには、対立する集団同士が一致協力しなければ達成できないような上位目標を導入したり、内集団と外集団を統一するようなカテゴリー化を行うことが有効だとされています。

 

 

集団圧力

集団圧力とは、集団規範(メンバーとして期待される思考や行動の基準)に沿って行動するように働く強制的な影響力のことを指します。

 

心理学者のアッシュは以下の実験を行い集団圧力を明らかにしました。

 

実験参加者に対して、複数のサクラがいる状況で、「この線と同じ長さのものを選べ」と指示しました。

誰が見ても正解が分かる問題ですが、サクラの全員は間違った答えを選択し、それを見た実験参加者もサクラと同じ間違った答えを選択しました。

 

人は他者の判断が明らかに間違っており、自分の判断が正しいと分かる場合でも、自分以外の全員の意見が一致している状況では、強い集団圧力が生じて、他者の判断に合わせた判断がなされることが分かりました。

 

ただし、一人だけ正当を選ぶサクラを含めたところ、誤った答えを選ぶ実験協力者が減ったことから、集団圧力はメンバーの反応の斉一性に規定されると考えられています。

 

 

 

以上のように、集団というのは私たちの判断を狂わせることがあります。

その集団が凝集性の高い特殊な集団であればなおさらです。

 

非常に練習の厳しい部活で、男女が入れ替わり付き合っている。集団の中に今の彼氏も前の彼氏もいるし、集団で一番仲の良い友人は自分の前の彼氏と付き合っている・・・

なんてことはよく見られることです。

集団にいない人が聞くと「え!?」と驚く話ですが、その集団の中で普通であれば、普通に感じてしまいます。

 

過激な考えを持つ集団が異常な集団生活をしている、というのも時々耳にします。

その集団の中にいれば、異常な生活が普通の生活になるのです。

 

これが集団の力です。

 

 

自分の集団の状態を時々振り返ってみたり、外の集団の意見を聞いていく、というのも柔軟な考えを持つためには必要なのかもしれませんね。