旅ごころブログ🐒

心理カウンセラーをしている筆者が心理学の知識を紹介するブログです。趣味の旅行で行ったおすすめスポットや飲食店の紹介もしていきます。

【ケース1】軽傷うつと診断されたAさんの回復過程

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ネプチューン名倉さんのうつ病休業で、うつ病の認知がさらに高まりました。

うつ病は働いている人たちにも多く発症する心の病なので、もともと認知度も高いですよね。

認知症と同様、映画や漫画などにも使われやすい題材です。

ツレがうつになりまして」などは、実際の体験談をもとに書かれた漫画なので、非常にリアルで分かりやすかったです。

 

しかし、実際のうつの治療はどのようなものなのかまだまだ想像がしにくいかと思います。

今回は私が見てきたうつ病治療を、実際のケースを組み合わせた事例にして紹介していきたいと思います。

 

 

 

 

うつ病の治療 その実際

うつ病は症状の重症度に個人差があり、ほとんど寝たきりになったり入院が必要になる場合もあれば、負担を減らした日中活動が可能な場合もあります。

 

今回は比較的軽度なケースを紹介していきます。

※ここで紹介するケースは、複数のケースを組み合わせて個人情報などは全て変えて紹介している架空のケースです。

 

 

Aさん 30代女性 会社員 未婚 一人暮らし

【概要】

Aさんは一人暮らしをしながら会社員として働く30代の女性です。

新卒で入社した職場は気づけば10年以上勤務しており、職場でも頼られる存在でした。

しかし30代に入ってから仕事の量が一気に増え、残業続きの生活をしていました。

また最近は長く付き合っていた彼氏とも別れ、寂しさとともに一つの恋愛が終わって燃え尽きた気持ちも抱いていました。

繁忙期に連日残業を行い、ようやく落ち着いた頃自分の心身の異変に気づきました。

久しぶりに早く家に帰っても、夕食を作る気力がわかず、大好きだったお風呂もめんどうに感じてしまい、夜も思うように眠ることができませんでした。また身体もひどく疲れていて、心なしか呼吸も苦しく感じました。

最初は疲れているのだ、と考えしばらくは残業をやめて早めに帰宅をするようにしましたが、家に着いたらやる気がまったく起こらず、ベットから起き上がれません。

そして夜は眠れないことが続きました。

朝は気力で起きて何とか仕事に行っていましたが、不眠はどんどん悪化し、日中もぼーっとすることが増えてきました。

睡眠薬をもらうため、近くの内科を受診したところ、精神科クリニックを紹介され受診に至りました。

Aさんは軽度の抑うつ状態と診断され、服薬治療とカウンセリングを行なうことになりました。

 

 

【経過】

カウンセリングでのAさんは、戸惑っている様子で「自分がうつなんて・・・なかなか信じられないです。仕事にはきちんと行けていますし・・・」と話して下さいました。

Aさんの場合は、仕事は行けておりパフォーマンスはやや低下しているものの、大きく問題になるほどではありませんでした。

一番気になることとしては「夜眠れない」ことを挙げておられました。

カウンセリングで今までのことを整理し、「彼氏と別れた」「繁忙期が終わった」という2つの終わりをここ数か月で経験している、ということを共有しました。

と言うのも、うつ病などの心の病は、頑張っていたことが終わったり、大きな別れを経験したりすると起こりやすいと言われています。

燃え尽き症候群、なんて言葉もありますしね。

そして仕事に真面目なAさんは、職場では気を張って今まで通りふるまっているけど、家に帰ると反動がきて、何もできなくなる、緊張して夜に眠れなくなる、といった症状が出ていました。

私はまずはAさんがリラックスして眠りにつけることを第一の目的とし、リラクゼーション法を一緒に練習し、またうつ病と不眠に関する心理教育を行いました。

 Aさんは心理教育の内容を興味深い様子で聞いておられ、自分と当てはまる部分がある、と自分の状態を客観的に見ることができるようになりました。

お薬も合っていたようで、夜間の不眠は1か月ほどで少しずつ改善していきました。

数回目のカウンセリングで、Aさんは今まで自分が仕事の忙しさを理由に、彼氏との別れの悲しさや、自分の将来への不安を考えないようにしてきたことを話して下さいました。

本当は悲しかった、今後結婚せずに一人で生きていくのかもしれないという思いがわいて、不安からますます仕事にのめり込むようになった、繁忙期が終わってもいつまでも不安が取れず、常に緊張していたことなどを涙ながらに語られました。

カウンセリングの終わりには、すっきりとした表情をされ、「ようやく涙を流すことができました」と帰っていかれました。

その後月に1度の診察とカウンセリングを半年行い、その間に仕事量の調整をしたり、自分の時間を大切にしたりと、Aさんも生活を見直され、来院から1年で治療を終結しました。

 

【振り返り】

Aさんの場合、不眠などの症状が出た比較的早期に受診をして下さったのは幸いでした。

うつ病の治療は早期に開始すると予後がとても良いことが知られています。

また処方されたお薬がAさんに合っていたこと、自分の状況や感情を言葉にすることが上手であったこと、仕事にやりがいを感じており、職場の人たちとも仲良くやれていたことも、治療を促進させた要因となるでしょう。

このように、うつ病は症状に個人差が激しいですし、治療の進み具合も人により異なります。

同じように軽症のうつであっても、長年治療を要する場合もあるのです。

それはその人が元々ポジティブな人なのかどうか、周囲の環境、年齢、仕事の有無、経済的な事情、治療のタイミング、治療の内容などによって変化します。

 

 

【軽症うつはしんどさも軽症?】

軽症のうつ、と書くと、「重症の人よりもしんどさも少ない」と思われがちですがそうではありません。

軽症というのは、病状のことを言うのであって感情のことを指すのではないからです。

また感情はその人にしか図れないもので、他の人と比べるものでもありません。

軽症のうつであっても、患うと生活がままならないほど苦しい思いをするものです。

 

うつ病は発症してからも仕事や家事など、今までの活動を続けるケースもあり、多くの人に認知してもらうことで、社会復帰がぐんとしやすくなる病気です。

ぜひ理解を深めてみて下さいね。