ネプチューンの名倉さんがうつ病で2か月間の休養に入られました。
名倉さんは椎間板ヘルニアの手術をされ、手術は成功したものの、その後の痛みや入院で環境が変化したことなどが原因で、精神的に不安定になった、と言われています。
うつ病は身体の痛みや環境の変化でも発症する病気です。
今日はうつ病について書いていきます。
うつ病と双極性障害
うつ病と双極性障害は、以前は「気分障害」という項目に入っていました。
しかし今はうつ病と双極性障害は異なるカテゴリーに入っており、気分障害という診断はなくなりました(今でも使用されている場合もあり)
違うカテゴリーになったとしても、≪気分»に影響を与える病気であることは共通しています。
まずはこの2つの整理をしてみましょう。
双極性障害とは
いわゆる躁うつ病と呼ばれている障害です。
ものすごくテンションが上がる躁状態、または軽い躁である軽躁状態とうつ状態とを反復する精神疾患で、気分障害の一つです。
躁状態になった時には、気分の高揚が自分では抑えられず(と言うか自覚できず)、例えば買い物を大量にしてしまったり、不眠で遊びまわったり、喧嘩っ早くなったりします。
あきらかに「普段とは違う」状態になるのです。
その躁状態のみの場合だと「躁病」と呼ばれ、うつ状態と反復している場合は「躁うつ病」と呼ばれます。
双極性障害はⅠ型とⅡ型があり、Ⅱ型の方が見た感じの症状は軽くうつります。
しかし、Ⅱ型は症状のコントロールが難しく、うつ状態は重たくなりがちと言われています。
Ⅰ型もⅡ型もとても大変な病気で、本人の心のしんどさだけではなく、社会的に問題を起こしてしまう(躁状態の時に飲酒運転をしたり借金をしたり)可能性もあるのです。
うつ病とは
うつ病は多くの人が名前は聞いたことがあると思います。
昔は誰にでもなる可能性があることから「心の風邪」と言われてきましたが、「風邪」というほど軽度なものではなく、症状は時に深刻になります。
普通では考えられないほどの気分の落ち込みがあり、死にたいと考える「希死念慮」や食欲不振、不眠などの症状が出現します。
そのような状態が毎日、二か月以上継続する状態をうつ病と呼んでいます。
この「双極性障害」と「うつ病」は一見似ているので診断が間違えやすいですが、飲む薬などは異なります。
双極性障害の人がうつ状態の時に受診をすると、うつ病と誤診が出る場合もあるのです。
実際、双極性障害の人は躁状態の時は本人は困っている自覚はなく、むしろ「すごく調子が良い!」と感じているので、受診をすることは少なく、うつ状態になった時に受診をすることが多いです。
治療法
治療法はどちらもまずは服薬治療を行います。
うつ病の場合は適切な服薬治療のもと、うつの原因の多くをしめるストレスを軽減できるよう、環境調整を行います。
家族にうつの理解を深めてもらったり、会社を休業したり、業務の負担を減らしたり、相談役を作ってもらったりなどですね。
そして状態が落ち着いてきたら、ご本人様自身が自分の病気を理解するための「心理教育」を受けたり、自分を責めたりマイナスなことばかり考えてしまう状態から、プラスなことも考えられるように「認知行動療法」を受けたりします。
双極性障害の場合は、「うつの時の治療」「躁の時の治療」を服薬治療と同時に行います。
そのためにも、ご本人様が自分の疾患を理解する必要があります。
「あ、少し気持ちが上がっている」「最近は少し気持ちが落ち込んでいる」ということを自覚できるようになると、症状のコントロールはかなりできるようになります。
これができないと、躁の時に周囲が受診を促しても聞く耳を持てません。
そのため疾患に対する心理教育が重要だと言われています。
うつはどうしてなるの?うつの原因について
うつの原因は様々ですが、やはりストレスは大きな原因の一つです。
ストレスが高い環境にいることもうつの要因となりますし、ストレスに対して敏感な体質の方もうつになりやすくなります。
同じ環境でもストレスを受けやすい人もいれば、ストレスを受け流せる人もいて、ストレスを受けやすい人はやはりうつになりやすくなります。
その人の「考え方」はストレスに大きく影響するのです。
またストレスは精神的なものだと思われがちですが、ネプチューンの名倉さんのように身体の痛みがきっかけでうつ状態になることも少なくありません。
身体的な病気がストレスでうつになる、という場合もあり、身体的な病気や障害を抱える人に対する心の支援はうつの発症を予防する効果もあります。
さらに「環境の変化」が原因でうつを発症する場合もあります。
例えば引っ越しや結婚、妊娠、出産、昇進などです。
妊娠や出産はホルモンバランスの影響が大きく「マタニティーブルー」「産後うつ」などと呼ばれています。
昇進や結婚は、今までとは違う役割を担う必要が出てきて、それがプレッシャーになることでうつ状態を発症します。
一般的には幸せな出来事でもうつの原因となるのです。
うつを予防するためには
うつの予防は以下のことが考えられます。
①ストレスを対処する
②不調を放置しない
③運動をする
④バランスの良い食生活を送る
⑤睡眠をしっかりとる
⑥相談相手を見つける
①ストレスを対処する
ストレスがたまるのは仕方がないので、それを適切に対処していく必要があります。
私が提案するストレス対処法は以下の記事をご参照ください。
ご自身に合ったストレス対処法を見つけることでうつの予防が期待できます。
②不調を放置しない
次に「不調を放置しない」ということです。
身体の病気と同じで、日常のちょっとした不調を放置しないことは大切です。
「最近寝付けない」「食欲が落ちている」などのささいなことに感じられることでも、放置することでうつ病の原因を作ります。
身体の病気でも、便秘などを放置することで起こる病気もありますよね。
精神的な病気も同じで、ある日突然発症するわけではなく、日々の積み重ねで少しずつ悪くなっていくのです。
③運動をする
とっても大切です。
運動はうつの予防にも再発防止にも効果的です。
特にウォーキングなどの有酸素運動はおすすめです。
運動をすることで脳の伝達物質のバランスを整える「セロトニン」が活性化しますし、幸福感を得られる脳内物質「エンドルフィン」も増えると言われています。
運動をすることでリフレッシュができ、気持ちが前向きになる効果が得られるのです。
④バランスの良い食生活をおくる
ジャンクフードばかり食べていると身体だけではなく、精神的にも不調を招きます。
和食がおすすめではありますが、ご自身の好きな食べ物を中心に、食事を楽しみながら栄養バランスを意識すると良いですね。
⑤睡眠をしっかりとる
全ての精神疾患には不眠がつきものです。
不眠は大きなストレスを感じますし、自律神経も乱れます。
⑥相談相手を見つける
誰でも良いので何かあった時に相談できる相手がいると心強いですよね。
精神科領域でも、このようにその人が相談できる相手を「キーパーソン」と呼んでいます。
愚痴を言ったり思いを吐き出すことで、うつを予防するのを助けます。
このように日常の中でうつを予防するために、心身を整えていく必要があります。
うつ病は本当に誰にでもかかる可能性のある病気です。
今回名倉さんがうつ病を発表してくださったことで、さらに認知度が高まりました。
この機会に自分のメンタルヘルスを考えてみて下さいね。