旅ごころブログ🐒

心理カウンセラーをしている筆者が心理学の知識を紹介するブログです。趣味の旅行で行ったおすすめスポットや飲食店の紹介もしていきます。

大人になるのは痛みを伴うって本当?青年期から成人期へ移行する若者の心理を学ぼう

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自己実現と聞くとどのようなことを思い浮かべますか?

 

一昔前までは、大学、あるいは高校を出たら就職をし社会に出て大人になる、という生き方が当たり前でした。

 

しかし現在は生き方が多様化しており、仕事の自由度も高くなっています。

 

派遣社員、フリーター、フリーランスなど、正社員で会社に雇用される、という働き方以外にも、自分で選択できる幅は広がりました。

 

この、学生から社会に出る時の選択の幅が広い、というのは現代社会の特徴ですよね。

 

今日は青年期から成人期に移行しつつある、若い世代の方についての、心理学知識を紹介します。

 

 

 

モラトリアム

青年期は身体的成熟とともにはじまります。

他者の目を意識することから、それまで感じてきた「自分らしさ」というイメージが揺らぎはじめ、他者が期待する理想像と現実の自己像とのギャップに悩まされます。

 

 

一方で、周囲の大人たちは青年に社会的な役割の取得と自立を求め始めます。

 

 

そして青年はそれに何とか応えようと試行錯誤を繰り返し、自我同一性を確立しようとします。

 

 

つまり、高校、大学などに行っている学生や、10代でフリーターをしている青年などは、周囲の大人の期待を感じながら、自分にとって価値のあることは何か、自分の進むべき道はどのような道かを模索する時期でもある、ということです。

 

 

このように、試行錯誤が社会的に許されるという青年期特有の状態を、エリクソン.E.Hモラトリアムと表現しました。

 

 

大学生などは分かりやすいですよね。

勉学に励みながら比較的自由な時間もあり、アルバイトや旅行をしたりして、自分の人生について考える時期です。

 

 

エリクソンの考えでは、モラトリアムはとても積極的なもので、青年がボランティア活動や海外旅行、資格を取る、など色々と試行錯誤して、自分という人間を作っていくものだ、とのことです。

 

 

確かに青年期の若者たちのエネルギーはすごいものがありますよね。

活動的、という意味もありますが、心のエネルギーも満ちていて、健康的でもあり危うくもある、まさに大人になるための期間と言えます。

 

 

 

モラトリアム人間

しかし近年ではこのモラトリアムの意味が変化しつつあります。

 

経済的な豊かさとともにこのモラトリアム期間が延びてきており、大人と呼ばれる年齢になっても自分探しを続ける青年が増えてきています。

 

 

小此木啓吾は、モラトリアム状態に居続けることによって、社会への参加を保留し続ける青年をモラトリアム人間と描写しました。

 

 

何年も大学を留年したり、卒業後に海外へ留学したり、目的もなく大学院に進学したり、フリーターで生計をたてている青年を指します。

 

 

この状態が「ダメな事」という意味ではなく、社会情勢とともに、大人になるための期間が延びてきており、青年期と呼ばれる時期も以前より長くなってきている、ということです。

 

 

フリーター

そのような中、正社員ではなくフリーターで生計を立てて、本当にやりたい仕事を模索する青年も出てきています。

 

フリーターとは

まずフリーターの定義を見ていきましょう。

 

フリーターとは、学校を卒業後、定職に就かずパートやアルバイトをする若者たち、およびその就労形態を指します。

1980年代に、バンド活動など自分の夢を求め定職に就かずにアルバイトで生計を立てていた若者を、フリー・アルバイターと呼んだのが語源とされています。

もともとパートタイマーは、既婚女性が中心でしたが、仕事を最優先する会社人間的な生き方から、自分の考えや私生活を大事にする生き方へと、社会の価値観に変化が出てきました。

また不況の影響もあり、新卒者採用の激減も影響し、フリーターを選択する若者が増えているのです。

 

 

 

きっかけから見たフリーターの3つの類型

フリーターとなるきっかけは次のように分類されます。

 

①モラトリアム型

やりたいことが見つからない、決まらないのでとりあえずフリーターをし、その間によく考えたい、など明確な職業展望を持たないためフリーターとなり、職業的選択を先送りにするタイプ。

 

 

②夢を追求型

芸能演劇関係など、特定の職業をめざす明確な意思を持つが、正規雇用が少ない職種のためパートやアルバイトをするタイプ。

 

 

③やむを得ず型

就職試験に落ちたため、学費を稼ぐため、就職や進学の希望が叶わず、フリーターとなったタイプ。

 

 

このように、フリーターと一言で言っても「夢を叶えるため」「やりたいことが見つからない」など理由はそれぞれです。

 

現代では①モラトリアム型のフリーターが増加していると言われています。

 

 

 

自己実現が重要な時代に

昔は学生時代が終われば自然に就職し、環境の変化や大人になっていく葛藤に何となく苦しさを感じながらも、「みんなこんなものだ」と疑問を抱かずに自然と大人になる青年がほとんどでした。

 

しかし現代社会は、大人になり経済的に自立することよりも、自分のなりたい自分になる、ということが重要視されてきています。

 

この変化はどのようなことからきているのでしょうか。

 

 

 

マズロー.A.Hの欲求の階層

有名なマズローによる欲求の階層で説明していきます。

 

そもそも自己実現とは、マズローによれば人が潜在的に持っている能力を十分に発揮しようとする欲求のことを指します。

 

 

彼は欲求のヒエラルキー(階層)を設定し、基本的な欲求が満たされると、さらに上位の欲求が出現し、それが行動に影響していくと考えました。

 

欲求のヒエラルキーとは基本的な欲求の順になっています。

 

①生理的欲求(食欲・睡眠薬・性欲など)

②安全の欲求(自分が安全な場所で安全に暮らす欲求)

③所属と愛情の欲求(どこかに所属して誰かと一緒にいられるか)

④自尊の欲求(自分で自分を大切にしたい)

自己実現欲求

 

 

食事も摂れず寝る場所もない状態では自己実現の欲求はわいてきません。

自分を大切に思えていない状態でも同様ですね。

 

 

このように基本的な欲求が満たされている状態ではじめて、自己実現欲求が生じるとしたのです。

 

 

現代社会は経済的に豊かになり、日本では基本的な欲求は満たされてる場合がほとんどです。

 

そのため「生きていくために働く」ことよりも「自己実現」のほうが重要になってきているのです。

自分のやりたいことが明確で、その関係の仕事につければ仕事をしながら自己実現を果たすことができますが、自分の思う仕事につけなかったり、納得のいかない働き方だったりすると、正社員の仕事で経済的に、社会的に自立することよりも、自己実現のためにフリーターで生活をしていく、という選択をする若者も多く出てくる、というわけです。

 

 

現代の若者にとって自己実現はそれほど重要なものなのです。

また、それは大人にとっても重要になりつつあります。

 

 

「私定時で帰ります」というドラマがありましたよね。

昔は上司の言うことは絶対、まさに「24時間働けますか」が常識でしたが、今は働き方を自分で選び、自分のなりたい自分、したい生活を手に入れることが幸せだ、と感じる人が増えているのでしょう。

 

 

今はまさに時代が変化している時期なのだと思います。

昔はなかったフリーランスユーチューバーといった職業が出て来て、組織に所属をしなくても収入を得られるようにもなりました。

 

そしてそのような時代の変化とともに、人の心理も変化していくものです。

 

 

特に心理的に敏感で流行に詳しい若者にはそのような変化が顕著に出るわけですね。

 

 

子育てや進路相談をする上でも、移り変わる若者の心理を理解しておくことも重要になってきます。

 

 

最後に感想

大学生時代、臨床心理士になりたくて進学をすることは自分ではもう決めていました。

しかし大学卒業後にみんなが就職をし、自分は進学をすることに漠然とした不安と焦りを感じたのを覚えています。

 

就職=大人

という図式が私の中にもあったのでしょう。

 

また就職をする友人たちも、希望に満ちている人もいれば、大人になる準備が心理的にできていないのに状況だけ変化していくことい戸惑う人もいました。

 

青年期から成人期に移行する時期は、それぞれ心も動くんだな、と昔を思い出しても感じています。