今日は私が心理学の知識を活用し、朝が苦手な旦那さんの早起きを応援した話を聞いて下さい。
学問の心理学なら使えなくても良いのですが、私がやっているのは現場での臨床心理学。
自分の知識が日常で使えないなら意味がありません。
そのため、旦那さんとのコミュニケーションを工夫し、どう応援すれば効果が出るのか試してみました!
朝が苦手な彼が早起きをして勉強できるようになるまでの道のり
さてさて、私の旦那には秋頃に大切な仕事が入っています。
そのためには今から準備のために勉強をする必要があるのですが、これがなかなかできません。
平日は帰ってくるのも遅いですし、休日も研究会やら何やらでなかなか勉強まで手が回らないのです。
でもやらないといけないことは分かっているので、旦那は心の奥では焦っているんですよね・・・
もちろん私も「勉強大丈夫か!?」とは思っていましたが・・・
焦りつつも、疲れていると睡眠を優先したり、ゲームをしてリラックスしたかったりするんですよね。
そんな日々を送る中で「普段私はコミュニケーションを変化させることで、相手の良い行動を増やすことができるかもしれない」と言っているのに、自分ができなくてどうするんだ!
うちの可愛い(?)旦那が焦りながらもついついだらだらしてしまうのを、ただ見ているだけなんてダメだ!
焦りながらではなくのびのびとだらだらさせてあげたい!
心理学の知識をフル動員させて旦那が勉強するのを応援しよう!
と思ったわけです(笑)
今回私が対象にした旦那の簡単なプロフィールは以下のものになっています。
旦那:会社員 週5日勤務(土日休み) 完全夜型人間で朝は死ぬほど苦手。
ぎりぎりに起きてきて、通勤中にパンを食べる的な状態で出勤するほど1分でも多く寝たい派。トマトが苦手。
つまり、とにかく朝が苦手です(笑)
でも現実的に考えると、勉強をする時間は朝しかないんですよね。
平日の夜は他にもやることがあり集中できないし、休日もなかなか・・・
朝に1時間勉強できれば、平日の夜も休日も好きなように過ごせるし、勉強は進むので焦る気持ちも楽になり、メリットが明らかに大きい。
でも旦那は朝が苦手・・・
そこで冒頭の「心理学の知識をフル動員して手助けしよう!」に繋がった次第です。
つまり私の目標はとにかく旦那が勉強する時間を確保し、今の焦りながらだらだらしたり、他の仕事に追われている悪循環を断ち切り、勉強をする時間、仕事をする時間、リラックスする時間のメリハリをつけることを応援すること、となります。
期間は秋までですね。
その後はまあ、大人なので自分の時間の使い方は自分で決めていただきます(笑)
では経過を書いていきます!
アドラーの「自己決定性」
アルフレッド・アドラーという心理学者を聞いたことはありますか?
個人心理学の父と呼ばれた心理学者で、最近では本屋さんでアドラーの教えを解説した書籍を多々見かけます。
自己啓発的な理論が多いので、とても分かりやすい内容になっています。
さて、このアドラーの考えの一つ「自己決定性」
これは簡単に言うと
「昔の嫌な事とか今の環境とか、それも分かるけどその中でどうするのかを決めるのは自分だよ。自分で自分の行動を選択するのであって、今の環境が悪いから行動をしない、というのも自分の意思なんだよ。自分の人生、行動を決めるのはあなた自身なんだよ」
ということです。
この考え方は時には有効です。
あまりにも悲惨な環境にいて、自分で意思決定ができない動きが取れないほどの状況であれば、他者の助けを借りる必要がありますが、「普通に生活できている」状況であれば、動くのも動かないのも自分が決める、それは誰かに命令されてやることではない、ということですよね。
自由でもあり責任は自分にあるので厳しくもある考え方です。
旦那は「衣・食・住」がきちんと確保されている安全な環境に生きている大人なので、日々の悩みはあれど、自己決定をしていくことは十分に可能、と私は判断しました(笑)
そして秋までの過ごし方を決めてもらったのです。
もちろん相談しながらです。
たくさん案を出してその中から旦那が自分で「選択」しました。
そして私はその旦那の選択を応援することを自分で「選択」しました。
小さな子どもなどは自分で選択し、その選択の責任を自分で取ることはできませんが、ある程度「自分で行動を選択する」というのは重要です。
そしてその選択を応援するかどうかは周りの人がまた自分で選択していくほうが良いのだと思います。
そうしないと「せっかくあなたのためにやっているのに!」というイライラを生みますからね。
結果:旦那は朝1時間早く起きて勉強する。平日の夜や休日は2人で過ごしたり、自分の趣味をする時間にする、と決定しました。
バンデューラの観察学習
アルバート・バンデューラの観察学習(モデリング)をご存じですか??
これはバンデューラが、子どもにある映像を見せた実験で証明された理論です。
その映像とは、暴力行為を行い①称賛される、②罰を与えられる、③称賛も罰もない、という3種類の映像です。
その後に暴力行為や暴力傾向が増えたのは①称賛される、③称賛も罰もない、の2つの映像を見たグループでした。
この実験から分かることは、以下のことです。
・人は他者が行う行動を見て、実際に自分がしていなくても学ぶことができる
・自分が称賛されなくても、他者がある行動をして称賛をされているのを見るだけで、そのある行動を起こす頻度が高まる。
親の携帯電話の操作方法、教えていないのにいつの間にか子どもが使えるようになっていることありませんか?
あれは観察学習の結果です。
学習理論
そしてもう一つ心理学の理論「学習理論」です。
すごーく簡単に言うと、自分が取った行動に対してご褒美が与えられればその行動をよくとるようになるし、罰や無視などが与えられればその行動を取らなくなる、というものです。
毎日奥さんに「可愛いね」と言っても無視されれば、だんだん言わなくなるでしょ?
コンビニスイーツをお土産にして喜んでくれれば、また買ってこようと思いますよね?
これが行動療法という心理学の介入方法の基本です。
さて、ここまでは前ふりです。
まずは観察学習を利用した方法です。
私は旦那が朝1時間早く起きるために、旦那よりも5分早く起きるようにしました。
そして珈琲を入れてさわやかに珈琲を飲む姿を演出しました(笑)
なので旦那が起きて最初に見る光景は、私が優雅に珈琲を飲む姿です(笑)
と、こんな簡単なことでも観察学習は起こります。
姿勢が良い女性を見ると、自分の姿勢も正したりしませんか?
「あ、良いな」と思えばその行動を学ぶ力が私たちにはあるのです。
そして旦那が起きてきたら学習理論のご褒美の出番です。
↓この下に書く文章の大きな文字はすべてご褒美にあたります↓
旦那の大好きな甘い珈琲を入れて「おはよう、頑張って起きたね」と伝えます。
その後旦那は1時間勉強をしますが、最後の3分間は肩をマッサージしてあげます。
終了後に「お疲れ様!頑張ったね!すごい!」と伝えます。
珈琲、マッサージという物理的なものと、言葉という目には見えないもの、どちらもご褒美になります。
ちなみにこのご褒美、理論的には10秒以内に渡すことが効果的です!!
心理学の知識をフルに用いて応援した結果どうなったか
では、
一番大切な結果です!!!
現在2週間経過しました。
週末はお休みなので合計10日間行いましたが、継続できています。
そして始めて5日目に、私が寝坊をして、旦那より5分早く起きられなかったのですが、
なんと!!!
自発的に起きていました!!!
私もすぐに起きてご褒美はいつも通りに行ったのですが、本当にすごいことです!
もちろん「自分で起きれてすごい!!!」と伝えました。
大人なんだから当たり前・・・
かもしれませんが、旦那はとにかく朝の弱さが尋常ではないので、「頑張って続いているな・・・」と涙ぐましいですし、自発的に起きたのも「えらい!」と素直に思いました。
おわりに
よく勘違いされるのは、心理学の知識を用いて関わると、「冷たい」「本心じゃない」「実験みたい」という印象を与えがちです。
しかし私はそうは考えていません。
私がしているのは、旦那がやることを応援する手段として、いつもよりもコミュニケーションを相手が心地よいと感じるように工夫をしている、だけなんです。
自分をしていることを褒められたり認められることでやる気が出る、誰かがしていることが楽しそうなら自分も同じ行動をしてみたくなる、人がやっていることを見て覚える、これらは私たちみんなが持っているものです。
コミュニケーションを変化させることで、相手を効果的に応援してあげられるかもしれません。
できそうなものがあればぜひ取り入れてみて下さい。
まずは「ご褒美」が簡単で始めやすいかもしれませんね!