対人関係は時に傷つくこともあり、一度対人関係で失敗するとそれ以降は人付き合いが怖くなってしまいますよね。
今日は対人関係で悩む方向けの記事です。
なぜ対人関係で人は悩むのか?
誰でも一度は対人関係で悩んだことがあると思います。
家族の不和やいじめ、パワハラなどの深刻な関係で悩む人もいれば、「怒らせてしまったかな?」「ラインが既読にならない・・・」など、日常で頻繁に起こる出来事に悩む人もいます。
どうして私たちはこんなにも人のことが気になるのでしょうか。
それは私たち人間には「承認欲求」があるからです。
承認欲求とは、「人から認められたい」という強い思いを指します。
自分で自分を認めたい、という思いは「自己承認欲求」、他者に認められたい、という思いは「他者承認欲求」と言います。
例えば毎日綺麗にメイクをして髪の毛をセットしてくる職場の綺麗な女性。
これは「自分で満足のいく自分でありたい」という自己承認欲求を満たすためでもありますし、「人にいつもきれいにしている、と思われたい」という他者承認欲求を満たすものでもあります。
そんなことを言うと「別に人に認めてもらいたくてやっているわけじゃない!」
と言われそうですが、100%ではないにしろ、人間は生きていく上である程度は「人に認められたい」という思いを抱いていて、それがある程度満たされないと、心を健康に保つことが難しくなってきます。
それくらい私たち人間にとって「誰かに認められる」というのは大切なことで、嬉しいことなのです。
もちろん、「顔がきれい」「頭が良い」「優しい」などの自分の特性を認められるだけではなく、「何もなくてもあなたの存在」を認めてくれる、という関係性は、心から支えになるものです。
人間関係でトラブルが起きたり、人に嫌われることで、「見捨てられた」と感じると、他者承認欲求が満たされない状態になるから、私たちは対人関係で気を使い、傷ついたりするのです。
そして他者承認欲求が満たされなければ、「自分なんてダメな人間だ」「誰にも愛されない」と悩み、自己承認欲求も満たされなくなり、さらに苦しむことになるのです。
あなたの対人関係いつも同じパターンではないですか?
対人関係で悩んでいる時は、なかなか自分のことを客観的に見ることができないと思います。
ですが、実は相手が別の人に変わっているだけで、自分はいつも同じパターンを繰り返している、ということはとても多いです。
対人関係でトラブルが起こる時は、「怒り」「悲しみ」「嫉妬」「不安」などの、マイナスな感情がつきものです。
自分を客観的に見てみると、いつも「不安」が原因で人とトラブルになっていたり、「怒り」が原因で喧嘩になったり、自分のパターンが見つかるかもしれません。
いつも対人関係で不安を感じるパターンを持っている人は、どんな誠実な人と付き合っても、「浮気をされているのではないか」と不安になりがちです。
相手のささいなことを気にして、客観的なことを過剰に受け止め、「こういう行動をしているから浮気をしているのかもしれない」と考えてしまうのです。
また、いつも同じタイプの異性と付き合う人もいます。
異性と付き合うといつも暴力をふるわれる、いつもお金をせがまれる、そんな人はいませんか?
これも「自分のパターン」がある場合があります。
例えば暴力的な親のもとで育った子どもは、それがどんなに苦痛な状況でもその状況に「適応」しようとします。
そのような暴力的な状況に適応した子どもは、成長して親から自立した後も、無意識のうちに暴力的な環境に身を置こうとする傾向があります。
穏やかな優しい環境は、幸せではあるけども、自分が適応してきた暴力的な環境とあまりに違いすぎて、何だか落ち着かなくなってしまうのです。
そのため、いつも暴力をふるう彼氏と付き合ったりしがち、ということが起こります。
これは心理学者のフロイトが「反復強迫」として提唱した理論です。
このような「自分のパターン」を認識することは、人間関係を考える上でとても大切です。
いつも傷つく、いつも対人関係が上手くいかない、それは自分自身が変化することで変えられるかもしれない、ということです。
もちろん、対人関係で上手くいかないのはあなたの問題だからなおさないといけない、と言っているわけではありません。
自分のパターンが自分にとってマイナスに働いているのであれば、そこに気づいていくことで、自分を幸せにしてあげられるパターンに変えていける、ということです。
自分のパターンを変化させていくためには、下の記事が役に立つかもしれません。
自分の考え方や行動を変化させるヒントが書かれています。
承認欲求は悪いこと?
最近はよくSNSで「イイネ」が欲しくて見栄をはる人がいる、こういう人は承認欲求が強すぎる、と否定的な意見を聞きます。
なんだかそのような漫画も増えていますよね。
確かにSNSに夢中で現実的な対人関係がおろそかになったり、現実とSNSのギャップが激しすぎて現実生活に支障が出るようであれば良くないと思いますが、可愛い写真をアップして人にコメントをもらえば嬉しいし、それを楽しめるのであれば現代の文化として大切なものなのかな、と私個人は思います。
SNSにアップするために外出したり料理を作っている、という批判を聞くこともありますが、それで楽しく外出できる機会が増えたり、料理を作るモチベーションが上がるのであれば、むしろ良い効果と言えるのかな、とも思います。
そもそも承認欲求があるのはまったく悪いことではありません。
むしろ日常で承認欲求が満たされていないと、精神的に不安定にもなりますし、それこそSNSで承認欲求を満たしたい気持ちになったりします。
この心の動きは誰にでもあることで、「寂しい」「人と関わりたい」「誰かに認められたい」という思いを持つことは恥ずかしいことではありません。
その欲求が強いことで、他者に依存したり、暴力で他者を支配したり、SNSにのめり込みすぎたりすることが問題なのです。
自分で自分を認めてあげること
他者に認めてもらうことも必要ですが、生きているといつも誰かに認めてもらえる、というわけではありません。
頑張っても認められない場面もありますし、それでも何とか生きていかないといけない。
だから私たちはある程度は自分で自分を認めてあげることも必要になってきます。
そもそも、私たちはまず養育者に大事にされ、「あなたが生きているだけで嬉しい」「あなたは愛されている」ということを体験から学びます。
これを心理学の世界では「基本的信頼感」と呼びます。
この基本的信頼感を持てれば、「どうやら世の中はそんなに悪いものではないらしい」「自分は基本的には価値のある人間なんだ」という思いを心の中に持つことができます。
そうすれば、生きていく上での困難に、ある程度は耐えられる心の強さを持つことができます。
辛い時に、小さい時に心地よく眠っていた毛布の暖かさ、母親がなぐさめてくれたこと、父親に抱きしめられたことを思い出し、何とか乗り切れた、という体験がある人もいると思います。
しかし、幼少期に十分な愛情を受けられなかった場合は、基本的信頼感が獲得できずに、辛い場面を一人で乗り切る心の強さが育たないのです。
このようなことが根底にあり、恋人やお酒に依存したり、精神的に不安定になりカウンセリングを受けている方もいます。
カウンセリングは自分の今までの歴史を整理する、という意味では効果を発揮しますが、カウンセリングを受けなければ今の自分の状況を変えられない、というわけではありません。
その方法が「自分で自分を認めてあげること」です。
つまり自己承認欲求を満たしてあげるのです。
自分で自分を認めてあげるには?
自分を認めてあげられない人は、「私なんかが楽しんでいはいけない」「僕なんか価値のない人間だ」と考える傾向が強いです。
以前このブログの記事にも書きましたが、このような「考え」はすぐには変化しません。
まずは行動から変化させていく方法が上手くいきやすいです。
以下に例をあげていきます。
・口癖を変える。私「なんか」を言わないようにする
・楽しんではいけない、のではなく積極的に楽しい予定を入れてみる
・自分を大切に思えない人は、月に1度で良いので自分で自分にご褒美をあげる。小さなものでも構わない、好きなお菓子、マッサージ、自分のためにお金と時間を使う
・日記を書いている人は、最後の一行は自分をねぎらう言葉を入れる
たったこれだけのことですが、「自分で自分を認めて」自己承認欲求を満たしていくのです。
このように行動を変化させていき、自分で自分を大切にしていくことで、「私なんか」という考えが少しずつ変化していきます。
そうすると、気持ちに余裕が持てたり、人に依存したり羨んだりすることが減るので、対人関係が良好になりやすいのです。
自分へのご褒美をあげられない、自分を大切にできない、という方は以下の記事を読んでみて下さい。
自分へご褒美をあげることが、どれだけ生活を充実させるのか、気持ちの安定に貢献するのかが伝わるかもしれません。
まとめ
・私たちは対人関係に敏感で、人との関係に悩むことは多いです。
人に認められたい、という誰もが持つ「承認欲求」があるから対人関係に悩みます。
それは何も変なことではありません。
・いつも人に認めてもらえる環境を作ることは難しいですが、まずは自分で自分を認めてあげて、「自己承認欲求」を満たしてあげることで、精神的な安定、余裕、自信などが持てて、対人関係での失敗が減ることがあります。
・自分を大切にする行動をとって、労わってあげることが、人と良い関係を築くことにもつながるのです。