同じ環境にいるのにある人はストレスを感じ、ある人はストレスを感じないのはなぜでしょうか。
人間はストレスに強い人、弱い人がいます。
これは「癌体質」の人がいたり、「扁桃腺が腫れやすい」人がいるのと同じです。
また支えになってくれる人がいる人もいれば、仕事も家庭もストレスフルな環境の人もいます。
このような体質や環境も、ストレスを感じるかどうかに影響をしますが、なかなか自分ではコントロールできません。
今日は自分でもコントロールできる「考え方」や「行動」を変化させることで、ストレスを感じる環境に強くなる、というお話をします。
ストレスを感じるのは環境だけが原因ではない?
多くの人はストレスの原因は環境だと考えます。
職場の環境が悪い、電車が混みすぎているのが悪い、家庭が不仲なのが悪い・・・
確かに環境要因も大きいケースもあります。
パワハラなどがあるあまりにひどい職場、攻撃的な配偶者、貧困などなど、環境が原因でストレスを感じることは多いです。
しかし、先ほども書いたように、同じ環境でもストレスを感じる人と感じない人がいる、という事実です。
これはどういうことなのでしょうか。
実は、心理学の世界ではストレスを作るのは環境だけではなく、考え方や行動の要因が大きいと言われています。
以下の例を見てみましょう。
「妻に怒られた」という状況があるとします。
この状況だけでもストレスだと思いますが、何らかの状況が起こった時、人は必ず何かを考えます。この考えを「認知」と呼んでいます。
「妻に怒られた」という状況で、「いつもうるさい奴だ」という認知がわいてくるとします。
認知(考え)の次には何がくるでしょうか。
認知の後には必ず「行動」がきます。
「妻に怒られた」という状況で、「いつもうるさい奴だ」という認知がわき、「家を飛び出す」という行動を起こすわけです。
そして結果がきます。
結果は「家に帰りにくくなり車で寝た」という結果になります。
そうすると「感情」はどうでしょうか。
おそらく「最悪の気分」ですよね。1から10で感情を表すと、一番ストレス度が高い「10」かもしれません。
このように、ストレス、つまり感情を作るのは状況だけではなく、考え方や行動も感情に大きく影響しているのです。
状況→認知→行動→結果→感情
この流れを私たちは無意識のうちに行っています。
最後の感情の部分がストレスに繋がりますが、その感情の前に様々な動きが起こっているわけですね。
今回おすすめするのは、「認知」と「行動」にアプローチをする方法です。
「状況」はなかなか変えられませんし、「感情」も変えようと思って変えられるものではないですよね。そもそも感情は様々な動きの結果ですし。
では、「認知」と「行動」にアプローチをする方法を見ていきましょう。
認知と行動を変化させれば感情が変わる
認知と行動のうち、変化させやすいのは行動です。
先ほどの例で言えば、「妻に怒られた」という状況の中で取った行動は「家を飛び出す」でした。
その結果車で寝ることになり、身体も痛くなるしイライラするし睡眠不足になるし、もう最悪の気分になるわけですね。
では、この行動を「気分を変えるためにシャワーを浴びる」「他の部屋に行く」に変化させればどうでしょうか。
少なくともその日は自分の家で眠れるわけです。
さらに「妻の言い分を聞く」「話し合いたい旨を伝える」「謝る」という行動に変化させれば、さらに結果は変化するかもしれません。
怒られたら謝ったほうが良い、と言っているわけではありません。
「最悪の気分」にならないように、衝動的な行動を取るよりは、落ち着いた行動に変化させていくほうが良い、ということです。
例えば配偶者と毎回同じような喧嘩になり、同じように最悪の気分になる、という結果を繰り返している人は、毎回同じパターンになっていないか振り返ってみて下さい。
毎回喧嘩をすると「怒鳴っている」「泣いている」「自分の気持ちを伝えられずにいる」など、同じパターンが見つかれば、そこの行動を変化させてみるのです。
怒鳴っている→ゆっくりと話すようにする
泣いている→話し合いの途中に深呼吸をする
自分の気持ちを伝えられずにいる→ラインや手紙で伝えたり、喧嘩中に少し冷静に考えられる時間をもらう
などのように、今までのパターンを変えることで、結果が変化し、自分の感情も少しは変化する可能性があります。
では次に、認知を変化させる場合はどうすれば良いのでしょうか。
これには少し時間がかかります。
しかしやり方は行動を変化させる時と同じです。
毎回自分はこんな風に物事を捉える傾向があるな、という自分のパターンを見つけ出すことが第一歩です。
「いつも上司からの言葉をネガティブに受け止めている」
「妻の小言はしょうもないものと決めつけている」
「旦那は何を言っても変わらないと思っている」
こんなパターンはありませんか?
人は誰でも考えかたの癖があります。
その癖を見つけ出しましょう。
例えば「妻の小言はしょうもないものと決めつけている」という思考パターンを発見した場合、この認知を変化させていきます。
イメージとしては、色々な考え方の選択肢を持つ、というイメージです。
「妻の小言」を一度書き出してみて、本当にしょうもないことなのか、これは確かに自分に非があるな、と思う内容はないのか、検証するのも一つの手です。
日記をつけている人はその日記に自分の感情を書いていくのも良いでしょう。
後で読み返した時によく出てくる感情を見つけられるかもしれません。
他の人に話をして、あえて自分の考え方とは違う考えを教えてもらう、というのも良い手ですね。
どの考え方が正しい、というのは心理学では決めません。
ただ、考え方のレパートリーをたくさん持っていると、柔軟な考えができるようになり、いつもイライラしている、という感情も柔軟に変化していきます。
おわりに
今日紹介したのは心理学の「認知行動療法」という介入方法の一部です。
・状況を変化させるのは難しい
・感情もなかなか変わらない
でも
・行動は変化させやすい
・認知は時間はかかるが変化することは可能
その結果
結果や感情が良いものになる可能性がある
自分の行動や考え方を振り返る機会にしてみて下さいね。