旅ごころブログ🐒

心理カウンセラーをしている筆者が心理学の知識を紹介するブログです。趣味の旅行で行ったおすすめスポットや飲食店の紹介もしていきます。

嘘をつくのも依存症の症状 依存症者と家族が協力するために信頼を取り戻すということ

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依存症を治療する中で、心理的に様々な葛藤が生じます。

それは当事者も周囲の人間も同じです。

今日は依存症者と周囲が信頼関係を築いていくための方法を考えます。

 

依存症患者は嘘つき!?嘘をつくのも依存症の症状の一つです

依存症の患者さんと関わっていると一つの特徴に気づきます。

「嘘をつくこと」です。

 

「お酒は辞められているよ」

「もうギャンブルはこりごりだからやらないよ」

 

このような報告を受けていても、それが嘘であることはとても多いです。

 

そのため、依存症の患者さんは治療者にすら「嘘つきで扱いにくい患者」だと勘違いされる場合があります。

 

しかしこれは大きな間違いです。

 

この嘘をついてしまう、ということこそが依存症のとても厄介な症状の一つなのです。

 

依存症になると、その依存対象が「すべて」になってしまいます。

それ以外を捨ててでも依存対象を手に入れようとします。

 

とくに依存物質を断った直後には、「渇望期」と呼ばれる時期があり、どうしても我慢できない時期があります。

そのような時期は、何とか依存物質を手に入れる、そのことしか考えられなくなり、嘘をつくことがあります。

 

また、一見周囲からは正常に見える状態でも、頭の中には依存対象のことしかなく、どうしたらばれずに使用できるか、飲めるのか、そればかり考えてしまいます。

その結果嘘をつくことが多くなってしまうのです。

 

依存症になり、最初は依存物質を辞めることなど考えることもできなかった人が、いざ本当に辞めようと決心した時、周囲の人たちからの信頼を失っている、というのはよく聞くお話です。

 

「何度も辞めるって言ったのにうらぎられてきた。もう信じない」

 

となるのです。

 

もちろんご家族に対しても、嘘をつくということが依存症の症状の一つであることは説明しますが、ご家族も何度も嘘をつかれていると、信じていく気力がなくなってくるのは当然の感情です。

 

そのため、依存症の方は周囲の信頼を取り戻すための努力をしていく必要があるのです。

 

なぜなら依存症を治療していく上で、支えとなってくれる人は重要な存在だからです。

 

支援者はもちろんですが、一番身近な家族であったり、同じ悩みを共有する自助グループの仲間は、依存症を克服しようとする人の大きな力になります。

 

自助グループの人たちは、自分たちも嘘をついてでも依存物質を手に入れたい、ということを経験していますし、例え嘘をついても理解してくれる場合が多いです。

 

しかし、家族や友人、恋人は嘘をつかれればひどく傷つきます。

例えそれが症状であっても、です。

信頼を取り戻すための努力が必要になってくるのです。

 

周囲の信頼を取り戻すこと

周囲の信頼を取り戻すためには、以下のことを大切にしていただければと思います。

 

①信頼の回復には時間がかかる

②行動で示すことが大切

③継続できる目標を立てる

 

①信頼の回復には時間がかかる

もしも周囲の人たちに何度も嘘をついている場合は、信頼の回復に時間がかかります。

例えばアルコールを飲んでいないのに「飲んでいるのでは?と疑われたり、本当にギャンブルをしていないのか行動を探られたりする場合もあるかもしれません。

そこで落ち込んだりイライラする気もちは十分に理解できるのですが、信頼の回復には時間がかかることは、事実として受け止める必要があります。

まずは3か月、本当に依存対象を辞めていることを示し続けることから始めてみてはどうでしょうか。

 

②行動で示すことが大切

言葉で何かを伝えることも素晴らしいことですが、信頼を取り戻すためには行動で示すことも大切です。

例えば、アルコール依存症の人は、抗酒剤を毎日家族の前で飲むことを徹底している人がいます。

抗酒剤は飲むとアルコールを受け付けない身体になる薬で、それを家族の目の前で服用することで、今日一日飲まないことの誓いを示すのです。

また、治療プログラムに毎回通ったり、通院をさぼらずに行ったり、自助グループに行ったりすることで、「自分は辞める意思を強く持っている」ということを示していく、という方法もあります。

生活リズムは回復に大きく影響するので、生活を整えることも周囲の人間の印象を変えるかもしれません。

このように、何らかの行動を示すことは周囲の信頼を回復するのに重要なことです。

 

③継続できる目標を立てる

何事も続かないと意味がありません。

やる気が出てきた時は色々と頑張りたくなり、「ギャンブルを辞めて借金を月に10万ずつ返す!」「アルコールを辞めるために暇な時間を作らない。自助グループと治療プログラム、スポーツジムにも通ってみよう!」などと、今の自分には達成が難しいような目標を立てがちです。

しかし、これをしてしまうと、継続が難しくなり、周囲の印象が悪いだけではなく、自分も自信を失ってしまいます。

私がいつもおすすめしているのは、「1年間続けられることを目標にしましょう」ということです。

・週に2度の自助グループ

・週に1度の治療プログラム

・週に1度の通院

・週に1日は家の手伝い

など、一週間の予定を立て、本当に無理がないのかを考えます。

もちろん暇すぎてもいけません。

暇になるとついついお酒を飲んだり、ギャンブルをしたり、物事を悪いほうに考える時間になったりするからです。

良いバランスのスケジュールを立て、その中で目標を決めていくと良いと思います。

 

 

信頼を取り戻すことは可能

信頼を取り戻すことはとても難しいですが、行動を起こせば必ず取り戻せます。

 

その中で失敗することがあっても大丈夫です。

 

依存症の治療で一番大切なのは「継続すること」です。

例え失敗をしてしまい、アルコールを飲んだり、ギャンブルをしてしまったりしても、嘘をつかずに正直に教えて欲しいと、私たち支援者は願っています。

 

失敗したことを話すのは勇気がいることです。

しかし、失敗を分析していくことで、どうすれば次は成功するのかを考えることができるのです。

 

むしろ失敗した情報はとても貴重なのです。

 

依存症でなくても、約束したことを果たせなかった時、言い出すのは勇気がいりますよね。

だけど大丈夫。

信頼を取り戻す行動を続けて、失敗をしても正直に打ち明けることで、一緒に次の作戦を考えることができるのです。

 

おわりに

依存症の治療は他の精神疾患とは異なる部分が多く、なかなか理解を得られないのは事実です。

依存症者本人も受け入れるのに時間のかかる病気です。

依存症の治療とは人生について考えること。

長くかかるのは当たり前で、その中で失敗が起こることは何も恥ずかしいことではありません。

諦めずに治療に繋がり続けてもらえることが、支援者も家族もとても嬉しいことなのです。