旅ごころブログ🐒

心理カウンセラーをしている筆者が心理学の知識を紹介するブログです。趣味の旅行で行ったおすすめスポットや飲食店の紹介もしていきます。

突然失踪して記憶がなくなる「解離性遁走」原因、治療法は?

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家族が突然失踪し帰ってこない、連絡も取れない・・・

 

最近ではKANA-BOONの飯田さんが11日間誰も連絡が取れず、捜索願が出されていましたよね。

 

無事に帰って来られたとのことで、一安心ですが、心は非常に疲弊しているようで、プレッシャーや不安が重なった結果の失踪だったとのこと。

 

飯田さんが一日も早く心の安定を取り戻されることを祈っています。

 

しかしこのような失踪、決して他人ごとではなく意外にもよく起こります。

 

本当に事件や事故に巻き込まれた、自分の意思で出て行った、などの場合もありますが、私が精神科領域で見てきたケースでは「解離性遁走」の状態になり、1週間、長い方は数年間失踪し、失踪先で新しい生活をしていたり、失踪中の記憶がなかったりする方がいます。

 

今日はそんな解離性遁走のお話をします。

 

 

解離とはいったいなんなのか?

解離性遁走について説明する前に「解離」という心の規制についてお話をします。

 

「解離」とは、私たち人間が通常では耐えがたい強いストレスにさらされた時に、自分で自分の心を守るために起こる動きです。

(辛い)出来事と自分の感情を切り離すのが「解離」です。

 

虐待や性的被害、いじめ、などの過度なストレス状況を、心でそのまま感じると、私たちの心は壊れてしまうことがあります。

そのため、辛い出来事に対して心が動かない状態になるのです。

 

このような心の動きは私たちの誰にでも備わっている「防衛機制」と呼ばれるものです。

 防衛機制の詳しい説明は以下の記事をご参照ください。

www.ntan.work

 

 

「解離」自体は病気ではなく、心の動きですが、解離性障害などの解離系の疾患は、この「解離」という規制から派生したものです。

では、解離性遁走とはどのような病気なのでしょうか。

 

いきなり家からいなくなる?解離性遁走とは

解離性遁走になると、突然家族の前から姿を消してしまうことがあります。

健忘の一種でもあり、遁走前の記憶がないことがほとんどです。

 

遁走の期間は1時間程度のこともあれば、数か月や数年などの長い期間、今までの生活の場から離れることもあります。

この間は、多くの場合、もとの生活の記憶がありません。

そのため遁走期間が長い場合は、多少の混乱はあるものの、新しい仕事をはじめ、新しい家族を作っている場合もあります。

 

おそろしいですよね・・・

 

実際に解離性障害の方のお話しを聞くと、たった1時間記憶がなくなるだけでも非常に怖く混乱をしています。

 

何年も姿を消し、別の地で新しい人生を歩んでいた、というのは稀な例ですが、ふらっと家を出たと思ったら姿をくらまし、山の奥や遠く離れた田舎で発見された、というようなケースは少なくありません。

 

発見された後は当然医療機関で治療を行いますが(まずは身体的な治療と検査)

ほとんどの方は、自分がなぜこのような行動を取ったのか、遁走する直前に何があったのか、などは覚えていません。

 

 

解離性遁走は仮病、詐病ではないのか?

このような特徴を持つ解離性遁走ですが、家族からすると突然連絡が取れなくなり、捜索願まで出して探して、ようやく見つけたと思ったら「覚えていない・・・」と言われるわけです。

 

「ほんとに!?」

と言いたくなるのもごもっともです。

 

もちろん詐病で解離性遁走を装い、今の環境から逃げ出す場合もありますが、精神科の医師であれば詐病か疾患かの判断はつきます。

 

詐病の場合は、失踪するに足る理由が必ずあります。

借金をしているとか、不倫がばれそうとか。

 

解離性遁走の場合も、ストレスが原因になることが多いですが、失踪自体は無意識な行動で、家族からすると「理由に心当たりがない」となるわけです。

 

そして遁走状態から記憶を少しずつ取り戻すと(稀にまったく思い出せない場合も)激しく混乱する場合も多く、演技とは明らかに異なる「精神疾患」だと分かります。

 

解離性遁走の治療は?

解離性遁走だけではなく、解離関係の疾患は心理療法を行う、時には催眠療法を用いることが多いです。

 

と言うのも、自分がなぜ覚えてないのか、なぜ突然失踪をしたのか、などをご本人様はまったく覚えていないのです。

 

解離系の疾患はストレス環境を調整することが、治療のなかでも重要なことですが、そのストレスというのは、ただ単に「仕事が嫌」「家庭が嫌」というように意識できるようなものではありません。

 

意識できない、つまり無意識の中に押し込んでいる感情を、心理療法の中で明らかにしていく必要があるのです。

 

そのため、時間は長くかかりますし、心理療法だけではなく、ストレスを減らしていく環境調整や、家族、友人の支え、必要に応じて薬物療法などの治療法を併用して治療を行います。

 

おわりに

いかがでしたか?

家族が失踪する、という出来事は本当に怖いことです。

また自分自身が記憶をなくしたり、今までの生活を捨てる形で新しく生活をし、そのことをまったく覚えてない、というのも、恐ろしいことです。

 

たかがストレス、精神的なことは命には関わらないか、と精神疾患は軽く見られるところがあります。

 

また本当に苦しんでいる人が詐病に見られることもあります。

 

しかし、これほどまでに大きく人生を変える可能性もある、ということを私たちは知っておかないといけません。