言葉は私たち人間にとって重要なコミュニケーションツールです。
言葉を知らない赤ん坊から、どうやって言語を獲得していくのでしょうか。
今日は発達心理学の話です。
子どもの言語発達過程 どんな過程をたどるのか
子どもは1歳前後に最初のことば(初語)を話します(個人差はあります)
その後、しばらくの間話すことのできる単語の増加ペースは、月に3~5語程度増えていきます。
2歳近くになると、月に30~50語の増加ペースにスピードがアップします。
これを語彙爆発と呼びます。
確かに!友人の子どもと久しぶりに会うと、「え?!すごいおしゃべりが上手になっている!」「こんなにもう話すの?!」と驚くこともありますよね。
2歳前後は少し合わないだけで、言葉をものすごく覚えていることがあります。
また、1歳代においては、子どもの発話は一度に一つの単語を言うだけのものです。
これを一語発話と呼びます。
しかし2歳頃には、2語、あるいはそれ以上の数の単語をつなげた文での発話も出てきます。
これを二語発話、多語発話と呼びます。
文での発話も、最初の頃は「わんわん、いた」のような助詞が抜けた発話が中心ですが、だんだんと助詞も正しく使われるようになってきます。
3歳をすぎた頃には「~したから~」というような文と文をつなげた発語も可能になります。
これには当然個人差があるので、厳密なものではありません。
一つの目安ですね。
小さなお子様は産まれた月が数か月違うだけで、同じ年齢でも成長が異なりますし、気にしすぎず、です。
言葉はどうやって習得する?言語習得のメカニズム
誕生直後の子どもは、全身に力を入れて絞り出す叫喚発声をします。
生後2、3か月ころまでには、喉の奥が広がってくるので、リラックスした状態での発声ができるようになります。
これをクーイングと呼びます。
可愛い呼び名ですよね。
0歳半ばには、様々な音声を出してみて、遊んでいるように見える姿(声遊び)が見られるようになります。
そして8か月を過ぎた頃には、「ばばばば」のような「子音+母音」の繰り返し音声を発することができるようになります。
これを規準喃語と呼びます。
そのため、音声発達には「自分が発した声を聴く」ということが重要であることが分かります。
子どもは、まず0歳前半までに、自分の名前など単独かつ高頻度で耳にする単語を再認できるようになります。
0歳後半には、大人が話している中の単語を見つけ出せるようになります。
1歳になるまでの間には、違う人物が同じ単語を発しているのを、同じ単語だと認識できるようになります。
共同注意ができるようになることで単語を覚えることができるようになる
単語を覚えるためには、①話している相手が何に注目してその単語を発したのか、②単語に対応つけるべき概念はどのようなものなのか、が分かる必要があります。
つまり「犬」という単語を覚える時に、実際の犬を指さしながら「あれが犬だよ」と教えるわけです。
犬を指さしながら「犬」と単語を発する、子どもはそれを聞いて、お母さんが指を指したものと同じものを自分も見て、あの4本足で歩いているものを認識し、お母さんの「犬」という言葉を聞いて、「犬」という単語を覚えていくのです。
大変です!(笑)
「ねえ、あれを見てごらん」と指を指されたもの、他人が注意を向けている対象に自分も注意をむけられるようになることを、「共同注意」と呼びます。
単語の学習に非常に影響のある発達です。
また、1歳前半の子どもでは、ある犬を「わんわん」と覚えると、犬だけではなく、犬と何かしら似たところがある特徴を持つ対象も「わんわん」と呼ぶ現象が見られます。
犬もオオカミもライオンも「わんわん」と呼ぶ時期ですね。
これは一つの単語が指す範囲がどこまでなのか、まだ理解ができておらず試行錯誤している段階です。
1歳後半になると、対象と結びつけられた単語はたいてい、その対象と形のよく似た物体のカテゴリーの名前と見なせば良い、と推測ができるようになります。
ちわわも柴犬も「犬」なのね、その「犬」の中に種類があるのね、とわかるようになるんですね。
このような経緯をたどって語彙爆発になるわけです。
たくさんの物を見てたくさんの言葉を聞いて、その日常の中から子どもは言葉を覚えていくんですね。
おわりに
いかがでしたか??
今日は発達心理学のお話でした。
このような一般的な発達を聞くと、自分の子どもはその一般的な発達からずれているのでは?と不安がる方もいます。
しかし、1歳前後のお子様は個人差が大きいのが当たり前です。
もちろん発達の遅れを指摘されれば、適切な支援を受ける方が良いですが、「なんだか他の子よりおしゃべりが遅い・・・」くらいなら気にせず楽しく、ですね。
大切なわが子だからこそ、気にしてしまう方もいますが、今日のお話はあくまで目安、とお考えくださいね。