依存症には一般的に7つの特徴があると言われています。
今日はその依存症の特徴について書いてきます。
依存症とはどんな病気?
依存症とは一般的に以下のような病気と言われています。
・〇〇をやめたいと思っているのにやめられない
・〇〇によって心や身体の健康を悪くしてしまう
・〇〇によって生活・仕事・社会的な活動に障害をひきおこしてしまう
〇〇の部分には薬物やアルコール、人によってはギャンブルや買い物、スマートフォン、ネットなどがあてはまります。
「お酒が好きでねー、減らさないととは思うけどやめられなんだよ」
「煙草は身体に良くないとは言われているけどなかなかやめられないね」
などと思う人は多いですが、これが実際に「心や身体に悪影響を起こして」おり、「社会生活に支障をきたしている」にも関わらずやめられない状態が依存症です。
お酒の量が増えて遅刻や欠勤を繰り返しても朝まで飲んでしまったり、ギャンブルで家のお金を使ってしまったりすると、その物質への依存が強くなっていると言えます。
依存症の7つの特徴
では、依存症の特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。
①一次性の病気
依存症への誤解で最も多いのは「意思が弱い」「性格に問題がある」ことが依存症の原因である、という理解です。また「ストレスがたまっている」「昔あった嫌なことのせい」「親のせい」などが原因と誤解している人もいます。
例えその人にストレスが多くあり、何かを続けることが難しい人であっても、お酒を飲まなければアルコール依存症にはなりません。薬物を使わなければ薬物依存症にはなりません。
他のどの依存症もその物質を使用、依存対象を使用しなければ依存症になることはありません。
依存症の原因は「依存物質を使ったこと」にあり、意思や性格の問題ではない、ということです。
これが一次性ということです。
②慢性の病気
慢性の病気と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?
例えば糖尿病などですかね。
糖尿病だと治療を継続していても、甘いものをたくさん食べても血糖値が上がらない、という体質に戻ることはありません。
慢性の病気というのは「完治しない」という病気のことです。
依存症も同じです。
一度薬物、アルコールの快感を脳が覚えてしまえば、もう一度・・・と脳が依存物質を求めてしまいます。
この部分を消すことはできません。
これが「依存症は治ることのない慢性の病気」と言われる意味です。
しかし、治らないからと言って治療に意味がないわけではありません。
慢性の病気はたくさんありますが、そのどれもが生活習慣に気を付けて服薬を続ける、など行いながら自分の病気と上手く付き合っています。
依存症も同じように、自分の引き金を理解し、依存物質を使わない生活を送ることで、心身の健康を回復し、充実した人生を送ることも可能なのです。
引き金については以下の記事が参考になると思います。
引き金は依存症治療において非常に大切な概念なのでぜひ読んでみて下さい。
③進行性の病気
依存物質を使い始めた頃はある程度コントロールができるものです。
ネットやスマホも人並みには使用するけど、睡眠を妨害するほどではなかった、ギャンブルも最初はお小遣いの範囲でやっていた、ということです。
仕事や生活に支障が出ない、誰にも迷惑をかけないように使用できていた時期は必ずあります。
しかし依存症は「脳の病気」です。
例えば薬物やアルコールであれば、使用し続けることで脳へのダメージは蓄積されていきます。
そしてそのダメージは消えることはありません。
依存物質を使用し続けることで依存症の症状は確実に進行していきます。
依存症の進行を止めるには依存物質をやめるしかないのです。
ちなみに、アルコール依存症治療には節酒という方法もありますが、それも心身へのダメージは「最小限になる」だけで、ダメージはおい続けます。
節酒については以下の記事が参考になると思います。
④死亡率の高い病気
依存症は死亡率の高い病気と言われています。
身体を壊して死亡する方ももろん多いですが、自殺か事故か分からないなくなり方をする人も多いんです。
自殺率はうつ病の方よりも多いと言われています。
・依存が進行するにつれ、仕事や家族をはじめとする多くのものを失い社会的に孤立してしまう
・幻聴や妄想など精神症状に追いつめられる
・離脱期に重いうつ状態に陥ったりしてしまう
などが原因だと言われています。
⑤性格が変化する
性格が原因で依存症になることはありませんが、依存症になった結果別人のような性格になってしまうということはあります。
依存対象のために、お金遣いが荒くなったり、怒りやすくなったり、疑い深くなったりします。
依存対象がすべてになってしまうので、それ以外のことに興味を持てずに、依存対象を手に入れるために嘘をついたり、人や自分を傷つけるようになってしまうのです。
⑥依存対象が簡単に他のものへと変わってしまう
一度何かの依存症になると、脳がなににでものめり込みやすい体質に変化することが分かっています。
依存対象以外にも仕事やゲームなどに異常にのめり込んでしまう、ということが起こります。
依存対象をやめた後に、ダイエットをはじめて、摂食障害になるケースもあります。
⑦まわりの人をまきこむ
依存症はまわりの人も巻き込みます。
家族が依存症になったことで、うつ病になる場合もあります。
親が依存症の場合、子どもへの影響も出てくることもあります。
おわりに
依存症は自分の意思でやめていけるような病気ではありません。
治療期間に繋がることは何も恥ずかしいことではなく、依存症を克服しようとする強さです。
そして依存症はその人の意思や性格が問題でなるわけではなく、誰にでも起こりうる病気です。
決して一人では解決できない、周囲の助けが必要になってきます。
依存症の方が治療に繋がり、自分らしい人生を送れることを心より祈っています。