旅ごころブログ🐒

心理カウンセラーをしている筆者が心理学の知識を紹介するブログです。趣味の旅行で行ったおすすめスポットや飲食店の紹介もしていきます。

虐待をする親は悪魔なのか?児童虐待を防ぐために‐子どもと親を守るために‐

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最近札幌市でおきた児童虐待死事件。

痛ましい事件であり、大きく報道されています。

今回の件は、虐待の疑いがある養育者に対して、裁判所の許可を得て強制的に立ち入り調査を行える臨検を、児童相談所が行わなかった、と取り上げられていました。

 

今日は児童虐待について書いていきます。

 

 

 

実施率の低い臨検

これまでは、児童相談所が虐待の疑いがある養育者に、なかなか会えなくて、深刻化する虐待の生活に入れない、ということがたびたびありました。

 

臨検はそのような問題を解決するために、裁判所の許可を得て、強制的に家庭の中に入ることができるようにしたものです。

 

しかしこの臨検。

実施されることは少ないんです。

 

平成20~30年の間で、児童虐待により死亡した児童は700人以上だと言われています。

10年間で700人以上です。

 

みなさんはどう思われますか??

 

こんなにも・・・

と驚かれた方もおられるかもしれません。

 

ニュースで報道されるものばかりではなく、児童虐待は私たちのすぐそばで起こっていてもおかしくないものなんですね。

 

一方で20年~30年の間で行われた臨検の数は17件です。

10年間で17件です。

 

このようなことから児童相談所へ、権限を活用できていない、という批判も出ています。

 

児童相談所は虐待を発見し児童を保護する、という機能だけではなく、前後の児童のケアや、保護者への支援も行います。

 

そのため、臨検を行うことで保護者との関係性が壊れてしまい、その後の支援が行えないことが、懸念としてあげられています。

 

児童相談所は、緊急性の高い対応と、長い視点で見た保護者支援も含めた対応のどちらもこなしていくため、判断が難しい場面があるのでしょう。

 

しかし緊急性の高い、臨検が必要なケースは必ずありますし、最近では児童相談所と警察が連携を取り、臨検訓練なども合同で行っています。

 

 

児童福祉法児童虐待防止法の改正案 親による子どもへの体罰禁止

児童虐待防止対策の強化に向け、児童福祉法児童虐待防止法などの改正案が決定されました。

 

2020年4月から施行予定で、親による子どもへの体罰を禁止する、というものを含まれています。

 

体罰」「しつけ」と称した悲惨な虐待が後をたたないことから、このような内容のものを盛り込んだ改正案が出されたんですね。

 

この改正で児童虐待が防止される機会になるのかは分かりませんが、増えていく悲惨な児童虐待を防止するために、法律も改正されていっています。

 

 

児童虐待の通報義務

みなさんは「児童虐待の通告義務」が「全国民」に課せられているのをご存知でしょうか。

今は多くの方がこの事実を認識されていると思います。

 

児童福祉法第25条の規定に基づいており、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した場合には、全ての国民に通報する義務が定められています。

 

また医師や教師など、児童虐待を発見しやすい立場の人間は、積極的に児童虐待の早期発見を行うことが義務付けられています。

 

 

このように、児童虐待を早期に発見し、緊急性の高い場合は強制力を持って介入するために、様々な施策が出されています。

 

国民全体で児童虐待を防いでいこう、という動きですね。

 

 

児童虐待を防ぎ、深刻化させないためには?

ここまで書いたものは、児童虐待防止・早期発見のために一部の施策でしかありません。

しかしその一部でも、上手く実施できているとはいいがたい状況です。

 

警察、児童相談所を批判したいのではありません。

 

先ほども書きましたが、例えば児童相談所などは、業務の幅が非常に広いため、保護者への相談や教育を行う立場でありながら(信頼関係が非常に大切な立場)、臨検などの強制的な動きも行う立場で、そこに現場の難しさがあるのでしょう。

 

批判をするだけではなく、ここの難しさについて検討が必要なのだと思います。

 

そして保護者への支援も難しい課題です。

 

 

児童虐待防止 保護者への支援

児童虐待を防止する上で、保護者への子育て支援・相談は非常に重要だと思います。

 

貧困や一人親家庭、親の病気や障害、子どもの発達障害、親の孤立など、虐待のハイリスク家庭へ適切な支援をすることで、防げる虐待もあります。

 

親が精神疾患や知的障害を抱えていたり、生活保護を受けるなど貧困していたりする場合、その方の許可を取りつつ、妊娠中から医療と福祉で連携を取りながら見守ることもあります。

 

例えば精神科と産婦人科、福祉関係者が情報を共有し、妊娠中の精神安定はもちろん、出産後の子育て支援を母子ともに受けられるように手配します。

 

また乳幼児健診などで子どもの障害や病気を指摘された場合、子どもへのケアももちろですが、親への相談支援やケアも行えるよう配慮します。

 

しかし、このような支援はあっても十分な効果を得られない場合もあります。

 

子育てに困っていて支援を受けたい!とご自身で感じておられる方には、その方に合った支援を考えることができますが、支援を受けることを拒否する方も大勢おられるからです。

 

すでに虐待がはじまっている場合、発覚を恐れて困っていても助けを拒否してしまいますし、障害や病気がある場合、「できないと思われたくない」という感情から困りごとを隠してしまうこともあります。

 

また世間の目を気にする方も非常に多いです。

 

「自分の子どもを虐待するなんておかしい」

「母親なら子どもに尽くすべき」

「シングルマザー(ファザー)と結婚するなら最初から子どもがいることが分かっていたはず。可愛がるのが当たり前」

 

このようなことを周囲に言われて、誰にも相談ができなくなっている方もいます。

 

 

児童虐待をする人間は悪魔なのか?

自分の子どもを可愛いと思えない、義務感として育てている。

どうやって愛して良いのか分からない。

発達が遅れていてだめだと分かっていてもイライラする。

 

このような悩みを誰にも言えずに抱えている親は実は少なくありません。

 

みなさん「こんなことを思ってしまうダメな自分」と罪悪感を抱えており、自信も失っていることがほとんどです。

 

児童虐待は様々な要因で起こります。

 

児童虐待をするのは、自分とは違う世界に住む悪魔ではなく、自分と同じ人間です。

 

虐待をする親の問題で起こる虐待もあります。

しかし環境などの問題が複合している場合も多いのです。

 

子どもをきつく叱りすぎて落ち込み、罪悪感でいっぱいになり、でも誰にも相談ができない、そんな環境で頑張っている間に、悲劇が起こる、ということもあります。

 

もちろん、それでも児童虐待は絶対に防がないといけませんし、何よりも子どもの安全を守る義務が、私たち大人全員にあります。

 

しかし、子どもの安全を守る、というのは、一番子どもの身近にいる養育者の安全を守ることでもあります。

 

最近は子育ての様子や、子どもがいる親が子どもぬきで遊びに行った様子をSNSに投稿したら批判される、ということも起こります。

 

子育てを周囲に協力してもらう、ではなく、みんなに監視されているような感覚を持つ、と話している方もいました。

 

育てやすい環境、地域になれば児童虐待は減る・・・これは理想論でしょうか?

 

まずは「児童虐待は悪魔がするのではない。私たちと同じ人間がするものだ」ということを認識することからではないかなと思います。

 

子育ての悩みは誰でも持つし、誰でも助けが欲しい、それは恥ずかしことでもなんでもない、ということが広まることで、相談に繋がって下さる方が一人でも多く増えるのかもしれません。

 

おわりに

児童虐待は様々な要因で起こります。

悲惨な虐待のニュースを見ると目をつぶりたくなりますし、虐待をした養育者を許せない思いになります。

 

しかし、そこで止まってしまえば対策は何も生まれません。

 

周囲の子育てをしている知り合いに声をかける、電車で子連れのお母さんを見たら暖かく見守る、泣いている子どもを見ても大らかに構える、小さなことですが、そのようなことでも子育て中の方の心を救うかもしれません。