みなさんこんにちは。
今日は依存症が再発する危険がある4つの場面と対処法について解説していきたいと思います。
依存症の再発とは色々と定義はありますが、ここでは以下のこととします。
・アルコール依存症:お酒をやめていたが飲んでしまう
・薬物依存症:薬物や市販薬をやめていたが使用してしまう
・ギャンブル依存症:ギャンブルをやめていたがギャンブルをしてしまう
アルコール依存症の基礎知識、治療のための3本柱については以下の記事に詳しく書いています。
ギャンブル依存症については以下の記事に書いています。
では、さっそく依存症者が再発する危険な場面を4つと、その対処法について書いていきます。
依存症の治療では、危険な場面は以下の4つだと言われています。
・空腹
・怒り
・孤独
・疲労
一つずつ見ていきましょう。
「空腹」
空腹はすべての依存行為を誘発します。
私の印象ではアルコールが特に、という感じはしますね。
ただ単にお腹が減った時に使いたくなる、飲みたくなる、というのはもちろんですが、そもそも食行動が整っていなければ依存症の回復の妨げになります。
アルコール依存症の場合、お酒を飲まないと食事が入らない、食事を摂らずにお酒だけを飲む、お酒に合う食事のみ選んで摂り栄養不足になる、など依存症と食行動の異常は影響しあうものです。
そのため、空腹や食事を摂らなくなる、過食、などの食行動の異常が起こると、再び依存物質を摂取する可能性が高まる危険な状態、というわけですね。
【対処法】
→まずは3食規則正しく食事を摂ることですね。これがとにかく基本です!
ただなかなかそうはいかない時もあります。
3食規則正しく食事をするのは意外にも難しいんです。
工夫できることとしては、
・食事をする時間を決める
・朝食などついつい抜かしてしまうそうな食事は、ゼリーやパンなど簡単に食べられるものを用意し、とにかくまずは食べる習慣をつけることからはじめる
・食欲がない、など身体的な悩みは早めに主治医へ相談をし長引かせない
・空腹時のために飴などを用意しておく
です。
【怒り】
イライラしたり腹を立てている時に再使用をすることは非常に多いです。
もともと依存物質を使用していた時も、イライラや怒りなどを打ち消すために使用していた、というケースが多いからです。
「嫌なことがあったからアルコールを飲んでぱーっと気晴らしをする」
「イライラしているしパチンコに行く」
などですね。
依存物質をやめている時にも、この怒りには要注意です。
以下に工夫を書きます。
【対処法】
→まずは怒り=再使用の危険と認識することが大切です!!
イライラは誰でもしますし、嫌なことがあれば怒るのは当然です。
しかしそれに対処をしないと危険な状態は続くことを認識することは非常に重要です。
今まで怒りをアルコール(または薬やギャンブル)でごまかしていたのであれば、それら以外で怒りをまぎらわす方法を探す必要があります。
・強すぎる怒りは6秒でやや落ち着きます。まずは6秒間深呼吸を
・イライラしたらこれをする、というのを決めておきましょう。(例:イライラしたら珈琲を飲む、一度トイレに立ち手を洗う、など)
・普段からストレスがたまっているとささいなことでイライラします。ストレス対処を日ごろから行うようにする。
怒りはイライラには「呼吸法」「リラクゼーション」がとにかくおすすめです。
これに関しては以下の記事をご参照ください。
「孤独」
孤独も再使用の引き金の一つです。
一人でいると暇を持て余し、「やることがないから飲む」「一人で家にいてもつまらないから打つ」ということが起こります。
また寂しさをまぎらわすために飲酒をしたりすることもあります。
【対処法】
→コミュニティに属することは非常に大切です!!
何らかのコミュニティに属して友人を作ること、家族との時間を作ることは孤独な心を癒してくれます。
・自助グループに参加する
・依存症の勉強会に参加する
・家族と連絡を取る、会える距離でないなら電話やラインでも良い
・趣味の集まりに参加する
などは有効ですが、例えばアルコールをやめているのに、飲み友達と居酒屋に行く、などは考え物です。
日中に車で行ける場所で遊んだり、夜に食事に行く場合は運転手に立候補するなど工夫して、人とのコミュニケーションを取れるようにしてみて下さい。
精神科のデイケアには、依存症を抱える方も多く来られています。
常に医療者がいるので非常に安全な場所であり、様々なプログラムがあるので、自分に合えば趣味ができたり友人ができたりします。
精神科デイケアとはどんなところなのか、具体的に知りたい方は下の記事をご参照ください。
「疲れ」
これも危険です。
疲れはどんな病気に対しても悪影響ですよね。
疲れると何もしたくなくなり、「やる気を出すために薬を飲む」「疲れたからいっぱい飲んで寝る」という行動を取ってしまう危険性があります。
【対処法】
→疲れをためすぎないことが大事!!
疲れは一度たまるとなかなか元に戻りません。
まずは規則正しい生活を送れているかチェックしてみて下さい。
・早寝早起き
・眠れない場合は医師に相談をし適切な薬物療法を
・予定を詰めすぎないようにスケジュール帳を作成し管理する
・適切に運動をし体力をつける
・身体的な疲れだけではなく、精神的な疲れにも注意!
などを心掛けてみて下さい。
身体的な疲れは「だるい」「眠たい」など感じることができやすいですが、精神的な疲れはなかなか感じられなくて、気づいた時には大きなものになっている場合もあります。
ストレスチェックをして数字で今の自分の状態を知ることで、早めに休むことができます。
以下の記事からストレスチェックをしてみて下さい。
いかがでしたか??
今日は依存症治療中に再使用の危険が高まる4つの場面と、対処法についてお伝えしました。
依存症はだんだん知識が普及してきましたが、まだまだ偏見の多い病気です。
依存症は決して性格や考え方が原因ではなく、精神科で治療する精神疾患であること、依存症治療をする上で日常での工夫はたくさん持っていれば心強いことなど、正しい知識が普及していくことを願っています。