旅ごころブログ🐒

心理カウンセラーをしている筆者が心理学の知識を紹介するブログです。趣味の旅行で行ったおすすめスポットや飲食店の紹介もしていきます。

病識って知っていますか?精神障害者の病識についてカウンセラーが解説します

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皆さんこんにちは。

皆さんは「病識」という言葉を聞いたことはありますか?

病識とは、自分が病気を抱えていることを理解し、またその病気の内容について把握しているか、ということです。

精神障害者の方は「病識がない」方がいらっしゃいます。

 

もちろんそれには理由があります。

いったいなぜ精神障害者の方には病識がない方が多いのでしょうか。

今日はそんなお話です。

 

もくじ

・病識がないとどうなるの?

・なぜ薬を飲まなくなるの?

・病識を持つためにはどうしたら良いの?

・頭では理解していてもそれでも薬を飲みたくないし、生活リズムを戻すのが難しい

・終わりに

 

「病識がないとどうなるの?」

これは一言で言うと「再発します」

病識がないと薬を飲まなくなる率が圧倒的に高いからです。

 

 

「なぜ薬を飲まなくなるの?」

精神障害の種類は多岐にわたりますが、多くのものは生涯抱えていくものになります。

もちろん適切な治療、リハビリテーションで機能は回復しますが、服薬は生涯続けていく方が多いですし、生活が乱れると再び不調になることもあります。

 

精神障害は発症した時は「急性期」という症状が激しく出現する時期があります。

急性期の症状は「幻覚」「幻視」「幻聴」「妄想」などの症状が多く、当然気分の不安定さも激しくなります。

現実には見えないものが見えたり、聞こえるはずのない声が聞こえる、しかもその内容は怖い内容だったりします。気分が不安定になるのも当然だと思います。

しかしこの急性期の症状は服薬を中心とした適切な治療で比較的早く収束します。

そして症状が比較的安定している「慢性期」に移行していくんですね。

 

急性期は服薬を中心とした治療が主軸ですが、慢性期は適切な服薬を継続しながら、心理・社会リハビリテーションが主軸となっていきます。

 

さて、ではなぜ薬を飲まなくなるか・・・ということについて考えてみましょう。

 

想像してみて下さい。

私たちは風邪を引くと内科や耳鼻科に行き薬を処方されますよね。

最初の数日は身体もしんどいし、咳や鼻水もひどい、熱も高い、ようは急性期の状態です。

この時は身体がしんどくて何とか早く楽になろうとしますから、薬を飲み忘れることは少ないと思います。薬を飲むという行動をすると、「このしんどさから早く解放される」という自分にとって大きなメリットが得られますからね(ここすごく大事です。後でまた出てきます)

 

しかし3日もすれば症状は治まってきて何となくまだ鼻声だけれども、熱は下がったし身体のだるさも回復してきたら・・・

「残りの薬は飲まなくて良いや」と思う方も多いのではないでしょうか。

 

精神科に来る患者様も同じです。

激しい急性期の症状が服薬により治まったので、「もう薬は必要ない」と思うのです。

しかし精神科の薬は自己判断で中断すると症状が再発し、身体にも重篤な影響を及ぼすことがあります。

もちろん一度出た処方が変化していくことはありますが、それは主治医が患者様の状態をよく診て少しずつ変方したり減薬したりするのですが・・・

 

そうは言われても激しい精神症状が治まれば「まあ良いか」と服薬を忘れてしまったり、毎日の服薬が煩わしくなったりして服薬を中断する方が多いんですね。

考えてみればこれには非常に共感ができます。

今まで身体的には健康であった方が、突然生涯に渡り服薬をしないといけない、と言われても、その重要さを理解するのには時間がかかりますし、また受け入れることも容易ではありません。

 

しかし何度も書いているように、精神障害というものは「適切な服薬を行う」「薬を減らす時は医師と相談しながら安全に少しずつ減らしていく」ということが非常に重要です。

そのため「なぜ薬を飲まなくなるの?」という質問の回答は、やはり「病識がないから」ということになります。

また妄想などの症状により、病気が治っていないにも関わらず「治った」と錯覚してしまう、という方もおられます。

この場合も病識があれば「そう錯覚してしまっている」ということが自覚できるので治療を継続しやすいのですが、病識がないと自身の感覚で判断し、治療を中断してしまう方もおられます。

 

 

「病識を持つためにはどうしたら良いの?」

では、病識を持つためにはどのようなことに取り組めば良いのでしょうか。

精神科では患者様の診断名の一般的な説明を主治医が行います。

しかし精神障害を理解していくのには時間がかかるので、診察での説明だけではなく、臨床心理士や看護師などによる「疾病教育」を受けることをおすすめしています。

自分の障害の一般的な説明だけではなく、その方一人一人の症状を職員と一緒に考え学んでいくんですね。

集団のプログラムがある場合もありますし、カウンセリングなどの個別で、そのような心理教育を受けられる場合もあります。

集団で受けると、他の方の体験談や対処法を聞けるメリットがありますし、個別であると自分の症状を十分に相談できる、というメリットがあります。

障害の特徴だけではなく、「不安定になった時の対処法」「薬を飲み忘れないための工夫」などを一緒に考えることもできます。

ご自身のニーズによって集団で受けるのか、個別で受けるのか選択されると良いと思います。

 

私見ですが、「病識がない」と一言で済ませてしまうことはとても乱暴なことだと思います。

病識がない、服薬をしない、などにはその患者様個人の理由が必ずあります。

理由や思いを聞かずに一般的な知識のみを伝えるのであれば、一人で障害についての本を読んでいるのと同じですからね・・・

これは精神、身体の病気すべてに言えることですが、もしも疾病教育を受ける機会があれば、納得のいくまで自分の症状の不安や疑問を聞いてみて下さいね。

 

 

「頭では理解していてもそれでも薬を飲みたくないし、生活リズムを戻すのが難しい・・・」

精神障害の治療において、適切な服薬、規則正しい生活リズム、ストレスの対処などはとても大切なことです。

しかし上記に書いたように、服薬がめんどくさくなることもありますし、一度乱れてしまった生活リズムは戻すことがとても難しいです。

疾病教育で「大切だ」と言われても実際に行うとなると難しい・・・このような場合の工夫はどんなものがあるでしょうか。

以下に私がおすすめしている工夫を書いていきます。

 

・朝起きる時間を一定にする

睡眠のリズムを正しいものにしていくためには、寝る時間ではなく起きる時間を一定にしていくことが大切です。

何時に寝ても起きる時間を毎朝同じにすると、だんだんと身体が慣れてくるんですね。

最初はとてもつらいですが、朝同じ時間に起きてカーテンを開ける、これを習慣にしてみると良いと思います。

 

・日中活動の場を探す

仕事でもデイケアでも地域の活動でも何でも良いんです。

家に閉じこもっていると生活リズムを整えることはとても難しくなります。

どこか自分が楽しいと思えるような場所を見つけてみて下さい。

これは主治医、ケースワーカーに相談をすれば情報を教えてくれると思います。

 

・生きがいを見つける

このことが一番大切なことだと思います。

精神障害を抱えると今まで楽しかったことが楽しめなくなったり、活動の気力がわかなくなったりします。

症状が安定してからはこの慢性的な「気力がわかない」感覚に苦しめられる方も多いです。

そのため生きがいを見つける、といっても簡単なことではありません。

 

例えば、昔好きだったスポーツはありませんか?

少年野球をしていた、部活はバレー部だった、などスポーツ経験がある方はもう一度はじめてみても良いかもしれません。

実際にやったことがなくても「サッカー観戦が好き」などの理由でも良いと思います。

スポーツは身体を動かしてストレス解消にもなりますし、身体が疲れるので不眠の解消にも繋がります。数人で行うスポーツだと人とコミュニケーションも取れますしね。

スポーツができる場所はたくさんあると思いますが、地域のクラブチームに行くのは最初は勇気がいると思います。

まずはご自身が通院している精神科関連施設で、定期的にスポーツを行える場所がないか職員に聞いてみるのが良いかもしれません。

デイケアはもちろんですが、地域包括支援センターなどでもスポーツクラブを開催しているところもあります。

今は精神障害者のスポーツも少しずつ広まってきているので、身体を動かせる場所は増えてきていますよ。

 

その他にも「絵を描くのが好きだった」「昔ピアノを弾いていたことがある」「旅行が好き」などご自身の興味のある活動からはじめてみることをおすすめします。

 

生きがいができると、「これを楽しむためには不調になれない。だから生活リズムを整えよう」と考えることができます。

これは先ほど書いた、「薬を飲むことで自分にメリットがある」ことになるんです。

病気の治療が薬を飲むことのメリットの一つでもありますが、漠然としたメリットでは人は動けないものです。

それよりも「明日も絵が描きたい」「明日の練習に参加したい」のように具体的なほうが、薬を飲む、治療を続ける、という行動に移しやすいんですね。

だからこそ生きがいを見つけることが治療を継続するモチベーションに繋がるんです。

 

昔私がお世話になっていた地域包括支援センターでは、定期的にスポーツクラブが開催されていて、チームで試合に出ることもありました。

また日帰り旅行や俳句、ボールペン字教室、料理教室などもやっていて、無料で参加できるものがほとんどでした。

そのような場所を活用してみると良いかもしれないですね。

 

 

「おわりに」

いかがでしたか?

病気と上手く付き合う上で病識を持つことは患者様にとって利益に繋がります。

当事者の方にもご家族の方にも広めていきたい知識です。

 

読んでいただきありがとうございました。

 


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