みなさんこんにちは。
皆さんの中で病院へ入院をしたことがある方はいますか??
筆者は高校生の頃「髄膜炎」で小児科へ入院したことがあります。小児科の看護師さんが優しかったのを今でも覚えています。
精神科での入院は隔離病棟などもあるため、利用をしたことがない方には情報があまり伝わらない、という側面があります。
しかし精神科への入院がその方のメリットになる場合もあり(もちろんデメリットになる場合もあります)、正しい情報を把握した上でご自身で選択ができるようになれば患者様の利益につながるのではないか、と思います。
今日はそんなお話です。
もくじ
・精神科に入院!どんなスタッフがいるの?
・精神科に入院するとどんな一日なの??何をするの?
・個別のプログラムはないの?
・外出はどうしているの?
・精神科入院についての私見
・おわりに
「精神科に入院!どんなスタッフがいるの??」
精神科に入院をした場合、様々な職種が治療のお手伝いをします。
精神科に勤務している職種にかんしては以下の記事をご参照ください。
それぞれの役割について詳しく書いています。
さて、入院をした場合当然ですがまず「主治医」がついています。
隔離室に入っている場合は主治医の診察が毎日必要、などの細かい条件はありますが、基本的には主治医との話し合いで決められた頻度で診察を行います。もちろん外来通院とは異なり、調子が悪くて入院をしているので、決められた頻度以外でも不調の時には診察ができますし、病棟には色々な医師が出入りするので、例えば夜間に不調になった場合には、当直に医師が診察を行うことも可能です。
そして病棟生活で一番関わりが多くなるのが「看護師」です。
入院した場合基本的には自分の担当看護士がつきます。これを「プライマリナース」と呼んでいます。
プライマリナースは担当の患者様の普段のお世話はもちろん、退院をするために必要な様々なことへ関わります。例えば家族との関係が良くない患者様の場合、他の職種と協力をしながら、入院中に家族調整を行ったりします。患者様が病棟生活で困ったことがあった時には、このプライマリナースがまず相談に乘ります。もちろん、看護師も夜勤や休日があるので、担当看護士以外でも対応ができるように、情報共有を行います。
家族調整や金銭の調整、退院の調整などで最も関わるのは精神保健福祉士です。
精神保健福祉士は多くの場合病棟に1人か2人おり、その病棟の担当、という形を取ります。
1人に1人つくわけではないんですね。
そして作業療法士。
作業療法士も各担当に数名ついていることが多いですね。
臨床心理士は病棟専属の場合もありますが、病院の中に数人おり、色々な病棟や外来を行き来している場合もあります。
「精神科に入院するとどんな一日なの??何をするの??」
精神科に入院した場合、病状によっては外出や携帯電話に制限があることがあります。
そのため身体的に元気な方や若い方、活動的な方は退屈さを感じることもあります。
そのため色々なプログラムや活動が用意されています。
もちろん治療の一環としての活動なので、その方に必要なプログラムを選択し活動内容を決めていくのが一般的です。
代表的なのはOT活動です。OT活動とは作業療法士が担当するリハビリテーション活動のことです。
精神科に入院する方は、精神疾患が原因でもともと持っている機能が低下していることがあります。
例えば気力が低下して何にもやる気が起きなくなっていたり、集中力が続かなくなっていたり、人と協調しながら活動をすることができなくなってしまったりするんですね。
このような状態をOT活動に参加することによって改善していこうとする試みです。
OT活動の内容は多岐に渡り、塗り絵や脳トレ、手作業などを通して趣味の獲得や集中力のアップ、達成感の獲得などを目指したり、リフレッシュを目的にカラオケや外出を行ったり、筋トレや散歩、スポーツを行い体力の強化を図ったりします。
入院中はこのようなOT活動を中心に、看護師による健康チェックや医師による診察などが日課になります。
「個別のプログラムはないの?」
多くの病院で個別のプログラムも行っています。
例えば依存症関連で入院している方用に、小集団で行う依存症プログラムを実施している病院もありますし、臨床心理士によるストレス対処法や怒りの対処などを行う心理教育を行っている病院もあります。このようなプログラムは必要な方のみの小集団で実施される場合が多いですが、個別での対応を行うこともあります。
例えば入院中に自分の特性を理解するために臨床心理士が数個の心理検査を行う場合もありますし、コミュニケーションの練習を目的にカウンセリングを行う場合もあります。
「外出はどうしているの?」
開放病棟の場合は外出は原則自由です。もちろん病院なので夜は閉まるため、時間内に帰ってきていただく必要はありますが、それは他の科でも一緒だと思います。
外泊も家族との調整の上実施できます。
閉鎖病棟の場合は外出に制限がかかることが多いです。これは例えば認知症をお持ちの患者様の場合、一人で出かけると帰ってくれなくなったり事故に合う可能性があるので、職員やご家族が同伴し外出をすることもありますし、幻覚妄想などの激しい症状が出ていたり、自傷・他害の恐れのある患者様は、まずは病棟内で安全に過ごせるようになって、病状が落ち着いてから外泊を検討します。
昔は不当に患者様の外出を制限する病院もあり大きな問題となりました。
現在はそのような病院は減りつつありますが、それでも精神科入院中の患者様の権利を侵害する事例もあります。権利を擁護するための委員会や、今の治療が適切なものなのか複数人の目で確認することが必要です。
「精神科入院についての私見」
精神科の入院は患者様が「何のために入院をするのか」理解されていない場合があります。これは当然治療者が適切に説明する必要がありますが、患者様自身も入院期間にどんなことをするのか、何を目的としているのかについて支援者と話し合うことを主治医に希望されるのが良いと思います。
例えば私は心理職の人間なので、希望があれば患者様と退院後にどうなりたいか、について話し合い、そのために必要なことを入院中に援助しています。
入院前にストレスがたまりすぎてしんどくなってしまった方なら、入院中にストレスマネジメントを行い、退院後はストレスと上手く付き合っていけるよう手助けしますし、コミュニケーションが苦手なことに困っておられたら、コミュニケーションの練習であるSSTを行ったりします。
本来であれば「希望があれば」ではなく、全ての患者様に提供すべき支援ですが、まだまだ行き届かないのは大きな課題です。
今後すべての患者様に必要な支援を細やかに提供できる体制を構築していく必要を強く感じています。
「おわりに」
いかがでしたか?
外からは見えにくい精神科での入院生活ですが、内容は結局他の科と変わりはありません。
ようは「治療」をしているのです。
心や精神の病気は見た目では分かりにくいのであまり見えてはこないのですが、病棟生活を送りながら皆さん治療に励んでおられます。
精神科への疑問が少しでも解消できれば幸いです。