旅ごころブログ🐒

心理カウンセラーをしている筆者が心理学の知識を紹介するブログです。趣味の旅行で行ったおすすめスポットや飲食店の紹介もしていきます。

家庭内暴力に苦しむ方 家庭内暴力から身を守るための具体的な方法を紹介します

家庭内暴力に悩んでいる家族は今も昔も多くいます。

他人に相談しにくい内容なのか、なかなか外には出ませんが、配偶者の暴力、子どもの暴力、親の暴力・・・平和そうに見える家庭にも闇が潜んでいる場合はあります。

 

家庭内暴力に悩む家族は、孤独で先の見えない不安にさいなまれています。

 

今日は家庭内暴力に悩む人たちへ向けた記事です。

 

 

暴力とはどのような行為なのか

まず暴力とはなんでしょうか。

 

・殴る・蹴るなどの身体的な暴力

・怖い言葉で脅したり物を壊したりする行為

・ひどく傷つく言葉を日常的に浴びせてくること

 

これらはすべて「暴力」に当たります。

 

このような暴力が、家庭という閉鎖的な空間で日常的に起こると、暴力を受ける側は感覚が麻痺してしまい、SOSを発することができなくなる、ということも起こりとても危険です。

 

家庭内暴力から身を守るための具体的な方法

では、暴力から身を守る具体的な方法を以下に書いていきます。

 

・いつでも避難ができる準備をしておく

暴力がひどくなった時、エスカレートした時にすぐに避難できる準備を整えておくことは大切です。

避難用のカバンに必要なものをつめておく、近所のホテルを探しておく、友人や実家など頼れる人へ話をしておく、などですね。

数日分のお金も避難用カバンに入れておくと安心です。

 

・暴力に対する相談に乘ってくれる場所を見つけておく

精神保健福祉センター、女性のためのシェルター、民間の相談機関、など暴力について相談ができる場所があると、緊急時に頼ったり日々の相談をしたりすることができます。

まずは市や区の暴力相談窓口に行ってみると良いと思います。

 

・110番はしても良い

身の危険を感じたら110番をためらう必要はありません。

後で報復が怖い、というのも十分理解できますが、まずは今の危険な状況を回避することが大切な場面もあります。

もちろんその後はあらかじめ決めておいた避難場所に避難することも大切です。

しかし子どもの引きこもりなど、本来なら家庭内暴力が深刻化することはほとんどなく、適切な対応をすれば一過性で終わるものもあるので、見極めは大切です。

そのような場合でも、警察という第三者に入ってもらうことは意味があるので、危なくなったら電話をする旨を近所の交番に話しておくのも一つの準備です。

 

・暴力をされたくない、と伝える

これは緊急度の低い場合に限って有効な時があります。

配偶者の暴力や親からの虐待は力関係が圧倒的な場合が多いのであまり適さないかもしれませんが、まだ話し合いができる余地のある関係性の場合は自分の気持ちとして伝えてみても良いかもしれません。

「暴力はしてはいけないことだ」という世間一般の常識を伝えることには効果はありません。

ただ「私は暴力を受けたくない」という自分の気持ちを言うぶんに対しては、一定の効果がある場合があるのです。

「私はもう殴られたくないのでやめて欲しい」

「殴られないためにしばらく家を出ます。あなたが殴らなくなれば帰ります」

話し合いができる状態であればこのように伝えるのも一つの手です。

 

・暴力の前兆を知っておく

突然暴力が出るケースもあるにはありますが、ほとんどの場合前兆があります。

口調が荒くなる

貧乏ゆすりが始まる

イライラしている様子

本人がしたくない話をした時

ケースによって様々だとは思いますが、暴力の前兆に気づいたらその場をすっと立ち去るようにしてみて下さい。

これは自分の身を守ることはもちろん、家族に暴力をふるわせないための方法です。

時々暴力を受け入れることが家族としての愛情だ、などということを言っている人もいますが(驚くことに専門家と名乗って!)それは絶対に違います。

暴力はどんな理由があってもやってはいけないことですし、暴力が日常になると、それこそ理由などなく暴力が出るようになってしまいます。

大切な家族に暴力をふるわせない、というほうがよほど愛情です。

会話をしている時に相手がイライラし始めたら、もうそれ以上話はせずに「今日のところはもう寝ましょうね」と話を切り上げて、暴力の可能性をさげることは非常に重要です。

 

暴力の緊急度により変わる対応

暴力に軽いも重いもありませんが、緊急度を知ることは大切です。

命に関わるような状態と、何度も何度も口喧嘩をした結果腕をつかまれた、というのでは対応の仕方は変わってくるのは当然です。

 

日常的に非常に恐怖を感じるような暴力的な行為がある場合、それはやはり自分の身を守ることを第一に考えて行動をしなければなりません。

110番通報や避難が考えられます。

 

一方で、不登校や引きこもりの子どもとの関係が悪化した結果、子どもが暴言を吐いたり時々けがをしない程度の暴力をふるってくるような場合だと、もしもの時のための非難の準備や安全確保をしながら、子どもとの関係を改善するために動くことが優先されると思います。

 

暴力の中にいる当事者にはなかなか判定しにくいと思いますので、第三者にも状況を話をして相談に乘ってもらうようにしましょう。

 

 

おわりに

家庭内暴力の対応はとても難しいです。

まずは家庭内で抱え込まないことと、家族全員の身の安全を守るための行動が大切だと思います。

専門機関への相談は何も恥ずかしいことではなく、とても大切な一歩です。

勇気を出して相談をしてみて下さい。

怒りをコントロールできずに暴言・暴力で発散してしまう人の今日からできる対処法

誰でもイライラすることはあると思いますが、イライラしているのを顔に出したり時には怒鳴る、暴力をふるう、などの行動を取る人もいます。

最近ではアンガーコントロールが資格になるほど認知されていますが、自分の怒りをコントロールできずに困っている人はとても多いのです。

 

今日は怒りを顔や態度に出してしまう人のための対処法について書いていきます。

 

怒りを抑えないと起こるデメリット

まずは怒りを抑えないことで起こるデメリットをまとめてみましょう。

 

・対人関係にヒビが入る

・物を壊すなどをする場合は金銭的な負担がかかる

・楽しい時間が台無しになる

・ストレスのため心身に負担がかかる

 

このように、怒りを抑えないとたくさんのデメリットがあります。

それが分かっていても怒りを抑える、適切に処理するというのは難しいことなのです。

 

 

怒りを抑えないことで起こるメリット

一方で、怒りを抑えないことでメリットも起こります。

短気は良くない、というようなことは常識のように私たちは知っていますが、その中でも怒りを抑えずにそのまま出すことにメリットもあります。

 

・怒りである程度相手をコントロールできるので、自分の思い通りになることがある

・怒りで起こる強いストレスは、衝動的な行動によって発散されるので、怒った直後はすごくスッキリする

・ストレスの対処としては非常に強力で手っ取り早い

 

 

いかがでしょうか。

イライラを抑えるのはとてもエネルギーが必要ですが、怒りをそのまま出すことは楽でメリットもやはりあるのです。

 

このように、まずはメリットデメリットをきちんと把握することが大切です。

 

 

怒りが爆発して怒鳴る、殴るなどの行動が起こるメカニズム

では、暴言や暴力などの衝動的な行動が起こるメカニズムについて考えていきましょう。

暴言、暴力が出る時は以下のようなメカニズムが働いています。

 

きっかけ→感情→行動

です。

 

例えば

・寝不足でイライラしていた朝、会社で新入社員が挨拶をしなかったので、なまいきに思い舌打ちをした

という場合で考えてみます。

 

このきっかけは「寝不足」「挨拶をしない新入社員」です。

感情は「イライラ」「なまいきに思う」です。

行動は「舌打ち」ですね。

 

突然怒り出したかのように見える人でも、必ずきっかけがあり、そのきっかけに伴う感情があります。

本当に何もなく突然殴る、などの行動を取る人もいないわけではありませんが、ごくごく少数です。

 

この流れを理解することが第一歩です。

 

自分が怒りで失敗した場面を思い出してみて下さい。

 

何がきっかけとなり、どんな感情がわき、その結果どんな行動を取ったのか、それらを紙に書いていくのも良い方法です。

 

・自分はどんなことにイライラしやすいのか

・どんな感情がわいた時に衝動的な行動を取ってしまうのか

などを把握するのに役立ちます。

 

 

怒りをコントロールするための具体的な方法

よくアンガーマネジメントなどで言われている「怒りは5秒間がピークでどんどん下がっていく」というのは事実です。

アンガーコントロールはこの5秒間の間に衝動行為以外の行動を取ることで、感情が収まるのを待つ、という手法をよく用います。

 

きっかけ→感情→行動

という図式を以下のように変えていくのです。

 

きっかけ→感情→対処→行動

 

一番簡単な方法は、イライラするきっかけが起こり、それに対する感情がわいた時にすぐさま深呼吸をする、という方法です。

 

そのためには自分の感情を自分で把握していく必要があります。

 

実は、自分の感情を自分で把握できてる人はすごく少なくて、特にその時その場で起こった感情については把握する前に行動に移してしまっています。

 

「すごくイライラするな」という自分の感情に気づいた時に、「深呼吸」という対処行動を取ることができれば、衝動的な行動の多くは防ぐことができるのです。

 

ちなみに、深呼吸は怒りのコントロールにはとても効果のある方法だと実証されています。

 

 

心理面接での怒りの取り扱いについて

最後に心理面接における怒りの取り扱いについて紹介しておきます。

 

これまでい書いたように、まずは怒りの感情に気づくことが大切です。

 

心理面接をしていると、他の人に本来なら向かうべき感情がカウンセラーに向かう場面が多々あります。

例)妻への怒りをカウンセラーに向ける

 

そのような時は

「あなたは今怒っているんですね」

「すごく腹が立っていて怒鳴ってしまいたくなるような感じですか」

などの声掛けを行ないます。

 

こちらから見ると明らかに怒っている人も、自分が怒っていることには気づいていないものなんです。

 

このような声掛けをすることで、自分を客観視することができ、怒りが低下し、「怒っている」ということについて話し合うことができるようになるのです。

 

 

おわりに

怒りというのは手なずけることが難しいように見えますが、そこには必ず対処法があります。

今日紹介した方法は手軽に今日からできる方法ですので、ぜひ試してみて下さい。

自分の家族が依存症になったらどうすれば良い?依存症家族への支援について依存症治療8年目の筆者が解説

依存症の回復には「通院」「抗酒剤」「断酒会」がとても大切だと言われていますが、同時に「家族・周囲の協力」も欠かせないものです。

依存症は他者を巻き込む病気ですから、家族が依存症なると危機的な状況に陥ることがあります。

今日は自分の家族が依存症になった時にできることを書いていこうと思います。

 

・自分の家族が依存症になってどうすれば良いのか分からない

・依存症者の家族支援に興味がある

という方にはおすすめの記事になっています。

 

 

依存症者の家族への支援

依存症の治療をする時、例えばアルコール依存症であれば「断酒」「節酒」など、今まで依存症者が心のよりどころにしていたアルコールを制限していくことになります。

 

それは想像を絶っする苦しさです。

 

アルコールに依存していた時にはアルコールでストレスを発散し、眠れなければアルコールを飲んで眠り、楽しい時間もアルコールでさらに楽しくなり、そして孤独な時はアルコールを飲んで紛らわしていました。

 

それがなくなるとなると、自分の厄介な感情にアルコールぬきで対処していかなくてはいけません。

 

そんな時に、家族が味方になってくれれば、当事者も支援者もとても心強いのです。

 

しかし、多くの場合家族は依存症者にとても迷惑をかけられています。

借金を肩代わりしたり、暴力を受けていたこともあるかもしれません。

約束を守ってもらえなかったり、子どもに悲しい思いをさせたこともあるかもしれません。

 

「退院されたら困る」

「面倒見きれない」

 

という感情になるのは当然のことです。

 

家族が負担を感じながら、すべてを当事者のために捧げる、ということはする必要はありません。

 

しかし、もしも当事者のために何かをしてあげたい、と思ったのであれば、「依存症家族への支援」を受けると良いと思います。

 

家族だけで依存症の問題を抱えるのではなく、依存症者自身と、家族も支援も受けることで、孤立を防げるのです。

 

「自分の家族が依存症だ」という場合、以下のような場所で相談ができます。

 

・当事者がかかっている精神科の主治医へ家族も対応を相談する

・家族会に参加する

・断酒会へ参加する

・個別での家族相談を受ける

 

家族会は精神科病院で開催されていたり、NPOの団体が開催していたり、ご家族が主体となり家族会を作っておられたり、全国各地にたくさんのグループがあります。

断酒会も全国各地にあり、当事者が行く断酒会もあれば家族が行く断酒会もあります。

 

また、精神科病院や保健センターでは、依存症家族の相談を受け付けているところも多いのです。

 

お住まいの地域で開催されているのかどうかを調べて行ってみて下さい。

まずは電話相談だけでもしてみると良いと思います。

どうか家族だけで抱え込まないで下さい。

 

なぜ依存性になると家族がギクシャクするのか

依存症者が家族にいると、家庭の空気が変わります。

今までも喧嘩をしたりすることはあっても、それでもやはり家族、穏やかな時間、楽しい時間、喧嘩の時間、たくさんの色々な時間を共有していたのだと思います。

 

しかし家族が依存症になると、これらがガラリと変わります。

 

 

当事者も家族もアルコール(薬物やギャンブル)中心のコミュニケーションしか取れないようになってしまいます。

 

当事者は依存対象中心の考え方をして、依存対象のためなら家族に嘘をついたり傷つけたりもします。

 

家族は当事者が依存対象を止められているか、嘘をついていないか、が頭から離れません。

 

「普通」の家族の時間が持てなくなってしまうのです。

 

依存症者と家族の回復

依存症者の回復は家族の心の回復でもあります。

依存症によって当事者も家族も傷ついている中、長い時間をかけて依存症を克服し、家族の関係を修復していくのです。

 

とてつもない苦労ですし、客観的な意見を聞きながらではないと長くはもちません。

 

家族会や精神科と繋がりながら、その家族にとって一番良い道を探っていくことからがスタートなのかもしれません。

人混み、人前で緊張してしまう人のための心理学的な対処法を紹介

人混みが怖い、外に出ると心臓がドキドキする、など外出することへの不安を抱えている方がいます。

その方によって程度は異なりますが、人の視線や人混みへの不安が高まり、外出することが困難になってしまった場合は、医療機関への相談が必要になってきます。

 

しかし、何とか外出はできているけど外出するのが得意ではない、電車に乗っていると動悸がする、病院の待合いなど人が多い場所で緊張感が高まる、など「何とか日常生活は送れるけど苦しんでいる」という方はどうすれば良いのでしょうか。

 

今日は「人混みで緊張感が高くなる」人へ向けた対処法を伝える記事です。

 

 

 

人前で社会的な場で緊張感が高まる人とそうでない人の差は?

人が多い場所や社会的な場所では誰もが多少は緊張するものです。

肩に力が入ったり気をはったり、というのは多くの方が経験があるでしょう。

 

しかし、その緊張の程度には人それぞれ差があります。

非常に緊張が強く外出もままならなくなったり、人前を避けるようになる人もいれば、比較的平気な人もいるわけです。

 

この差はなぜ起こるのでしょうか。

 

まずは個人の特性の差です。

人前でも緊張が低い人もいれば苦手な人もいるのが当然で、これはその人が元々持っている素因ということですね。

 

その他にも人前で社会的な活動をすることが多い人は緊張が低くなるでしょうし(いわゆる慣れ)、普段人に会うことが少ない人は人前が苦手に感じるかもしれません。

 

このような環境や特性の差の他にも、人前や外出で緊張しやすくなってしまう原因はあります。

 

例えば、満員電車は誰でも苦手ですよね。

しかし多くの社会人は嫌だと思いながらも満員電車に毎日乗る生活をしています。

 

この時、たまたま満員電車に乗っている時に強い腹痛に見舞われたとすればどうでしょうか。

動くこともうずくまることも降りることもできない閉鎖空間で、自分のお腹の音がなっていることへの恥ずかしさと、お腹の痛さからくる焦りで汗も出てきます。

それが周囲にどうみられているのか気になってさらに恥ずかしくなり、汗はどんどん出るし、緊張は高まっていく・・・

 

もしもこのような体験をしたとすれば、今までは満員電車に乗る時の不安が3だった人でも、この体験の後には不安は8に上がっているかもしれません。

 

つまり、「またお腹が痛くなったらどうしよう」「今度は倒れたらどうしよう」という不安が出て来て、それにより満員電車への苦手意識が強くなり、緊張が高くなるのです。

 

心理学のメカニズムで説明すると以下の通りになります。

 

ある特定の場所で不快な出来事が起こる(満員電車で腹痛など)

不快な記憶は場所に対しても不快な感情を引き起こす(もう満員電車に乗りたくない!)

不快な感情が伴う場所を避ける(電車通勤をやめる)

その場所への苦手意識がさらに強まる(絶対に満員電車に乗りたくない)

苦手意識が広がる(空いている時間の電車にも乗れなくなる)

 

これがさらに広がっていくと「人が多い場所」「電車以外の公共交通機関」なども苦手になっていきます。

 

このように、何らかの不快な体験を人が多い場所でした、という人は人が多い場所で緊張が高くなったり、社会的な場所が苦手になったりすることがあります。

 

 

 人前で緊張してしまう人の対処法

緊張が強すぎて日常生活に大きな支障をきたしていたり、外に一歩も出られない、という場合は、専門家に直接相談が必要になってきます。

 

しかし、外には何とか出られているし仕事や学校など最低限すべきことはこなしているけど、人前や人が多い場所が苦手でしんどい、という方なら、以下の方法で少し楽になるかもしれません。

 

先ほど紹介したメカニズムにそって考えると、苦手な場所を避けると、その場所やその場所に類似している場所への不安感は高まります。

避ければ避けるほど、どんどん苦手になってくるわけです。

 

つまり苦手な場所を避けない、というのはまず第一に試すべき方法です。

 

電車が苦手でもそれを必要以上に避けずに、乗る必要がある場合は乗る、ということです。

 

これだけでも大きな効果があります。

 

そしてもう一つは「苦手な場所」という嫌な場所にいる時に「リラックス」することです。

 

これは心理学では拮抗条件付けと呼ばれていて、「嫌な場所」と相反するものである「リラックス」を同時に体験することで、嫌な場所への不快感が低くなる、というものです。

 

具体的には電車に乗り嫌な感情がわいてきてもそこを動かず、呼吸に意識を向ける。

この時に呼吸や動悸は早くなっていることが多いので、呼吸をゆっくりと整える。

深呼吸や腹式呼吸がおすすめ。

 

電車という嫌な場所を避けずにまずは身体からリラックスさせる、これを繰り返すことで、嫌な場所への不快感は少しだけ低くなります。

 

もちろん、苦手な場所を避けても問題なく生活できる場合は避けても構わないのですが、先ほど書いたように、苦手な場所は広がっていく可能性もあります。

 

どうしても嫌な場所は避けつつも、外出や人通りの多い場所、などは避けずに生活し、不快な感情がわいた時は呼吸を整えることに集中する、というのが現実的でしょうか。

 

 

おわりに

今回紹介した方法は多くの方に使える方法です。

 

嫌な場所、苦手な場面がない人はいないと思います。

そんな場面で「まずは身体からリラックスさせよう」という気持ちで呼吸を整えてみて下さい。

コツは吐く息を長くすることです。

最低でも1分、できれば5分、呼吸を整えることでリラックスできます。

身体と心は繋がっているので、身体がリラックスすることで心もリラックスできますよ。

 

ぜひ試してみて下さいね。

8050問題って知っていますか?引きこもり100万人時代 引きこもりの増加・高齢化・長期化について説明します

「引きこもり」が社会的な問題になるほど注目を浴びるようになってきました。

2019年、元農林水産事務次官が無職で引きこもりであった息子を殺害したことも、大きな話題となりました。

今日は引きこもりについての記事を書いていきます。

 

 

引きこもり100万人時代 引きこもりの増加・高齢化・長期化

引きこもり者の人数は100万人にも及ぶ、とはよく言われますが、引きこもりの問題は公になりにくいものなので、統計の数よりもいつも実際の数は多いと見ても良いと思います。

最近では、引きこもりの増加と同時に「高齢化」が問題視されています。

 

40歳~64歳の中高年層を対象に実施した調査では、ひきこもり状態にある人は全国で約61万人、一方2015年に実施した15歳~39歳を対象に実施した調査では、引きこもり状態にある人は全国で約54万人と内閣府は発表しました。

 

40歳~64歳:61万人引きこもり

15歳~39歳:54万人引きこもり

 

とてつもない数ですし(実際はもっと多いと思いますが)、確かに中高年の引きこもりが若年層の引きこもりの数をこえた、というのは驚くべきことです。

 

一昔前まで、引きこもりと言えば不登校の延長でそのまま外に出ることができずに、社会的な活動を行なえなくなる、つまり思春期の問題だとされていたと思います。

 

不登校の家族会や当事者の会などは、不登校から引きこもりに移行した人たちも参加していたように記憶しています。

 

私自身15年ほど前、新人のカウンセラーだった頃、思春期の不登校から始まり、長期の引きこもりに移行し、だんだんと歳を取っていく、これが中高年の引きこもり、というイメージを持っていたように思います。

 

しかし、現代は少し事情が異なってるようです。

一度社会に出て就職をしたけども、何らかの挫折体験をし退職、そのまま引きこもりに移行する、といった中高年の引きこもりが増加しているようなのです。

これはもう、「引きこもりは思春期の問題だ」なんて言ってられないわけですね。

 

これだけ数が増えて、高齢化している、というのはものすごい大問題だと思います。

 

と言うのも、中高年で引きこもった場合、親ももうすでに高齢であることが多く、高齢の親が中年の引きこもりの子どもの面倒を見る、というケースも多くなるからです。

いわゆる「8050問題」ですね。

 

そして高齢の親が亡くなった場合、中年の引きこもり状態にある子どもはどうやって生活をしていくのでしょうか?

貯金を切り崩していくのか、それがなければ一人で孤独に孤独死をしていくのか・・・

 

生活保護などの社会制度を利用するために、役所などに行き相談ができたり、手続きなどを行なえる人たちは、生活保護を受給するなどの選択肢がありますが、それもできない、その他に頼れる身寄りはいない、となると生きていく、ということも難しくなってきます。

 

また、引きこもり状態のある人すべてが生活保護を受給すると、確実に社会保障は崩壊します。

 

それだけ引きこもりの増加や高齢化、長期化は深刻な問題なのです。

 

 

引きこもり援助の実際

引きこもり問題が深刻なことは分かっても、じゃあどうしたら良いの?となりますよね。

 

まずは現状引きこもり援助はどのようなものがあるのかについて書いていきます。

 

引きこもり支援に関しては、数多くあります。

保健所での相談会、精神科での相談、引きこもり家族会、民間NPOが運営するフリースペース、生活訓練などなど‥

 

その中でも代表的なのは、ひきこもり地域支援センターではないかと思います。

 

ひきこもり地域支援センター

これは厚生労働省が運営する事業の一つです。

引きこもりに悩む人たちが、適切な支援は繋がることを目指して作られたセンターで、都道府県、指定都市に設置されています。

 

精神保健福祉士臨床心理士などの専門家が所属し、引きこもり支援の情報を提供します。

地域における引きこもり支援の拠点となる機関、ということですね。

 

そのため、現状ではまずはひきこもり地域支援センターに相談をする、というとがベーシックとなっています。

 

引きこもりの問題で難しいのは、当事者が相談に繋がりにくい、という部分です。

当事者の方は引きこもっているわけですから、自分で相談に行くのは非常に難しい、対人関係の引きこもりもあるので電話相談なども難しい、というわけです。

 

引きこもりの当事者が相談に繋がるのが難しい理由はもう一つあります。

「自分で何とかしたい」という気持ちが強いのです。

誰かに頼ることが怖い、申し訳ない、恥ずかしい、などの思いから、自分で何とかできる、という気持ちになるわけですが、もちろん自分で何とかするのは非常に難しいので、時間がどんどん過ぎていく、ということが起こります。

 

そのため、もちろん当事者の方が家族や支援者と一緒に社会復帰を目指していく必要があるのですが、これまで述べた理由から当事者の方が繋がるのはとても難しいのです。

 

だからこそ、最初は家族の方だけでも支援に繋がることが重要です。

 

引きこもり問題は隠ぺいされやすく、家族だけで問題を抱え込んでしまいます。

 

そうすると家族も引きこもり問題においては、世間から引きこもってしまうのです。

 

まずは引きこもり問題において、家族と社会の繋がりをしっかり取ることが第一歩となります。

 

 

おわりに

引きこもり問題は近年注目をされている問題です。

多くの方が引きこもり問題に関心を抱き、引きこもりに悩んでいる方が少しでも多く相談に繋がることを祈っています。

臨床心理士はしんどい職業なのか?臨床心理士の筆者が考える対人援助職がつぶれずに仕事を続けるためのポイント

心理カウンセラーとして生計を立てていく方法として「臨床心理士」「公認心理師」「心理カウンセラー」などの資格を有して、精神科病院福祉施設、学校で勤務をしたり、開業をする、などの方法があります。

 

心理士として活動する中で「人の悩みばかり聞いていてしんどくないの?」と聞かれることはたくさんあります。

心理士は精神的にしんどい職業なのか・・・

これは答えは人により異なるとは思います。

 

今日は心理士としての仕事に興味がある方へ向けて、私が臨床活動を行ってきて感じた「心理士は精神的にしんどい仕事なのか」「つぶれずに働き続けるためにはどうすれば良いのか」について書いていきます。

心理士の仕事をしたいと思っている方、心理士の仕事に興味がある方はぜひ読んでみて下さい。

※心理士の資格は数多くありますが、ここでは一番メインとなる資格である臨床心理士と表記していきます(ちなみに筆者の有する資格は臨床心理士公認心理師です)

 

 

臨床心理士の仕事内容

まずは臨床心理士の仕事内容を書いていきます。

 

・カウンセリング

臨床心理士と言えばまずはカウンセリングは絶対にあります。

カウンセリングの手法は様々です。

精神科病院、学校、福祉施設、カウンセリングルーム、司法領域、どこの領域でもカウンセリングの技術は必須です。

 

心理検査

心理検査を行う領域はカウンセリングよりは限られます。

と言うよりも、領域により用いる検査は大きく異なります。

精神科病院では比較的多くの検査が用いられ、知能検査、認知症検査、病態水準を見る検査、うつ病の査定検査などがあります。

高齢者領域では認知検査が主ですし、療育センターなどでは知能検査が主となります。

教育領域では心理検査を用いることは少ないですが、心理検査の知識を持っておくことはどこの分野で働くにせよ必須となります。

ちなみに心理検査は数多くあり、すべての検査に精通するのはなかなか難しいことです。

筆者は臨床経験16年目で現在15個程度の心理検査を利用しますが、取ったこともない検査もまだ世の中にはあり、今後も修業が必要だと感じています。

 

・コンサルテーション

コンサルテーションとは、臨床心理士が直接相談者の援助をするのではなく、相談者を支援しようとする援助者に対して、心理学的な見解を伝えつつ、支援者の力になる動きをすることを指します。

多くの現場で用いられていますが、教育現場では必須のスキルです。

 

 

これら3つの業務は、臨床心理師であれば習得しており、さらに技を磨いていけるように訓練を重ねる必要のある必須スキルです。

 

業務内容自体はもちろんまだまだたくさんあります。

現場によっては集団での心理教育や講演を行う必要もあるでしょうし、相談者の生活場面に入っていく現場もあります。

ですが、基本的にはこの3つのスキルを習得し、あとはその現場に応じて臨機応変に心理学的知識を発揮していくこととなります。

 

 

臨床心理士は精神的にしんどい職業なのか?

 臨床心理士業務を行っていると、職場他職種の方たちに「しんどくないの?」「毎日人の話聞いて大丈夫?」と心配していただきます。

 

私からすると「看護師さんのほうが注射もして相談も乗って毎日ばたばた忙しくて大変そう・・・」「受付の方なんて理不尽に患者様に怒鳴られることもあるし、今日もあんなに外来混んでたし・・・」と思うのですが・・・みなさん優しいです(笑)

 

臨床心理士がしんどいのでは?と心配される要因は以下のものがあると思います。

 

①人の悩みを聞く。時には誰にも言えない秘密事を打ち明けられたり、怒りをぶつけられることもあるから

②個室で二人きり、誰にも頼れないから

 

この要因があるから「病まない?」なんて聞かれるのだと思います。

 

これに関してお答えすると

 

①悩みの大きさに病むことはあまりありません。その方の傷つきや壮絶な体験に心を痛めることはたくさんありますが・・・

相談者の怒りについては、もちろん個室で怒鳴られたりすれば怖いですが、あまり心が動揺することはありません。

 

②誰にも頼れないのは確かです。

駆け出しの頃は、一日中カウンセリングを行ない、誰もいない家に帰って寝る、という生活をして、人生を悟ったように勘違いした時期もありましたが(笑)

これもあまり苦だとは思っていません。

 

つまり「そんなしんどくないよ!」ということなのですが、もちろんこれにはワケがあります。

 

まず、私たちは臨床心理学の知識を持っています。

この知識は私たちや患者様を守ってくれるものだと思っています。

患者様の壮絶な話を聞いたり、怒鳴られたりした時に私はこう考えます。

「どうしてだろう」

「何が起こっているのだろう」

そしてその答えを臨床心理学の知識に照らし合わせて解釈していくのです。

知識があれば、「ああ、なるほど、それでこんなに怒っているのか」「うんうん、それならそういう気持ちになるね」と共感したり理解することがやりやすくなります。

理解できれば相手を怖く思ったり、話をするのがしんどく思うことが減るのです。

 

そして第二に、私たちは「しんどい」という気持ちに気づくのがとても上手です。

カウンセリングで非常に大事なのは、「私この人と会っていると嫌な気持ちになる」「あ、今すごく心が動いた」と、自分の感情をきちんと認識することです。

相手の話を聞きながら、相手の感情を考え、自分の感情を認識する、これを同時に、あるいは並行して行うのです。

自分の気持ちに気づければ、それがなぜ起こったのかを考えることができます。

もちろんしんどさを対処するのも早めにできるわけです。

 

そして最後に、臨床心理士同士のコミュニティに属していたり、自分よりもベテランに指導を受けたりすることで、誰かの知恵を借りたり、心の整理を手伝ってもらったりという方法を私たちは持っています。

面接室では患者様と二人きりですが、外に出ると仲間に相談をすることは可能なのです。

 

もう一つよく言われる言葉に

「すごいね。そんなに考えながら人の話を聞けるなんて」

というものがあります。

 

しかし、カウンセリングの時間は50分間です。

カウンセリングは最初に決めた枠を壊すことはしません。

今日はしんどそうだから1時間聞くねー、なんてことはないわけです。

これを冷たい、と言われることもありますが、それだけ集中して相手の話しだけに興味関心を向けて聴き続けるのは50分間が限界なんですね。

時間の枠があるからできることです。

 

 

ここまでのことをまとめると

・知識があれば客観的に人の話を聞くことがしやすくなります

・ベテランの心理士や心理仲間と悩みや課題を共有することで抱え込まないようにしています

・時間の枠が決まっていることで集中をすることができます

 

このように、自分自身を守る体制を作ったり、人間理解を主観ではなく客観的な知識も含めて深めたりすることで、長い年月対人援助を続けられるのだと思います。

逆に言うと、守りのない中での対人援助は、自分や相談者様を傷つけ、継続が難しくなることもあると思います。

 

 

臨床心理士をしていく上での注意ポイント

臨床心理士を職業にしていくのであれば、以下のことは必ず守るべきだと思います。

・専門的なトレーニング(大学院など)を受ける

・現場に出てからも最低でも3年、できれば5年以上はベテラン心理士から定期的な指導を受ける

・自身のセルフケアを日々行う

 

良い援助とは自己犠牲の心では絶対にできません。

優しさで救える人もいますが、臨床心理士が会うのは、その優しさだけではどうにもならなかった方たちです。

慈愛の心は対人援助において大切ですが、それだけでは相手も自分も傷つくと思っています。

 

 

臨床心理士は厳しい職業でもありますが、人間を深い部分で理解できる本当におもしろい仕事です。

若い方たちがどんどん増えていき、活性化されることを願っています。

難病である摂食障害者の心理的特徴 なぜ命をかけて痩せを求めていくのか 治療法や治療タイミングも紹介

摂食障害とは、食行動の重篤な障害を呈する精神障害の一種です。

厚生労働省の難治性疾患にも指定されていることからわかる通り、非常に治療の難しい病気です。

 

近年では骨と皮だけのような状態の摂食障害患者様は減少しているとも言われていますが、それでも生命の危機を伴う危険な病気です。

 

摂食障害には①拒食症と②過食症があると言われていますが、どちらかだけが出現することはまれです。

 

たくさんの治療法や原因などが提唱されていますが、実際に根治するのは非常に困難です、摂食障害の本質をきちんと理解している専門家も少ないのが現実です。

 

異常なまでに痩せにこだわったり、常識では考えられないほどの食物を食べたり、食行動の以上に目が向きがちですが、心の中も強い虚無感を抱えている方が多く、本当に苦しい病気です。

 

今日は摂食障害の方の心理的特徴、治療法、治療のタイミングなどについて書いていきます。

 

 

 

摂食障害とはどのような病気なのか

摂食障害と聞いて「過剰なまでにダイエットをする」「たくさん食べて嘔吐をする」という病気だとみなさんは想像するかもしれません。

 

表面的にはその通りです。

 

その方によってパターンは異なりますが、

・食事や水分を極端に制限して痩せを保とうとする

・過剰に運動をして痩せを保とうとする

・以上なまでに食事をつめこみ、嘔吐する

などの行動は多くの摂食障害者に見られます。

 

身長にもよりますが体重が40キロを切るころには、多くの場合は強制力のある入院形態で入院をし、生命維持の処置が施されます。

女性の場合は当然月経も止まりますし、若くても髪の毛が抜けたり、歯がぼろぼろになったりします。

 

10代~20代の若い頃に発症することが多い、と言われていますが、思春期の頃に必ず発症している、という専門家もいます。

 

男女比は圧倒的に女性が多い病気となっています。

 

 

摂食障害者の心理的特徴 なぜそこまでして痩せを求めるのか

摂食障害者がなぜ生命の危機になってまで痩せを求めるのか、これにはたくさんの専門家がたくさんの考えを持っています。

 

・少女から女性になることへの不安感から

・母子の葛藤から

・痩せを推奨する社会的圧力から

・ストレスから

 

などが多く言われていることです。

 

ここでは、あくまで私自身が摂食障害を抱える方たちの治療に携わった経験から考える、心理的特徴を書いていきます。

 

・自己愛的な心性からくる行動の病

一番の特徴は、摂食障害は「行動の病」だということです。

 

傷つくこと、辛いことが起こった時に、自傷行為をしたり家を飛び出したりして辛い気持ちを解消することを、心理学では「行動化」と呼びます。

この行動化は人格障害の患者様がよく用いる方法ですが、摂食障害の方もこの方法を用いていると思います。

と言うのも、摂食障害者は自己愛的な人がとても多く、自己愛性人格障害の心性にとても似ているのです。

 

自己愛性人格障害は、他者への興味関心の低さ、他者を自分の利益のために利用したり、他者に心を開かなかったりする特徴があります。

摂食障害者も同様の特徴があり、自分の体重維持に協力してくれる人に対しては肯定的な感情を向けますが、それは自分の目的を邪魔しない、援助してくれる相手だからです。

 

摂食障害者は、他人の心や自分の心よりも、自分の体重に強い執着心があり、苦しいことを心の中にとどめておけずに、食行動の異常、という形で表現するのです。

 

これは想像を絶する苦しさです。

 

摂食障害の方は、いつもいつも不安で虚しくて満足できていないことになるからです。

 

人間は一人では生きていけず、他者との暖かい心理的に深い関係性に助けられます。

 

しかし摂食障害者はそこに救いを見いだせないのです。

 

摂食障害者が救いを見いだせるのはただ一つ。

「誰よりも痩せている自分」

です。

これがなくなると自分は何も価値のない人間になる、そのような恐怖を常に持って生きているのです。

 

・人間の欲を自分の強い意思のみで抑えようとする

摂食障害者は自分の強い意思で、人間の三大欲求を抑えようとします。

食欲だけではないのです。

 

最初の頃は、食事を制限することでどんどん痩せていきます。

それは摂食障害者からするととても気分の良いことで、このころは活動的で機嫌が良いことがほとんどです。

食欲にのまれずにダイエットができている自分が快感で仕方がありません。

 

しかし、体重が減っていくとだんだんと食事を制限することが難しくなってきます。

 

それは当然です。

身体が痩せていくと、生き延びるために強い食欲がわくからです。

その強烈な食欲を意思の力だけで制限するのは、至難の業です。

これ以上食べなければ死ぬ、という状況になっても食べない、命がけで食欲を制限しているのです。

 

体重が極端に減ると当然性欲はわかなくなります。

身体の力がなくなっていくので、寝てばかりになりますが、時にはこの睡眠欲も極端に制限する場合もあります。

何時間睡眠、と厳密に自分でルールを決めていたりすることがあるのです。

 

私たちが当然のようにみんな持っている欲を、自分の意思の力でねじ伏せて、それが成功すると自分の価値を見いだせる、成功できなければひどく取り乱し混乱する、それが摂食障害の方の実態です。

 

実際、だんだんと食事を制限することに限界がくるようになり、強烈な食欲によって過食の時期が必ずきます。

リミッターがはずれたように食べて食べて食べまくりますが、それもそのはず、今まで極端にカロリーを制限していたのですから、身体が食事を欲していのは当たり前なのです。

この当たり前のことに、摂食障害の方は強く狼狽し嘆き悲しむのです。

 

 

ここまでのことをまとめると

・食べたものを胃の中にとどめて消化をすることができない=心の苦しみも心の中で消化することができず、嘔吐することで苦しみも吐き出している

 

・他者との暖かい関係よりも、痩せた自分の身体に安心感を覚え、その痩せを維持するために命をかけている

 

・誰よりも痩せている自分、というイメージが崩壊することを恐れている

 

・生命維持に必要な欲を意思の力で抑えつけようとし、それができなくなるとひどく狼狽する

 

題名の答え「なぜそこまでして痩せを求めるのか」の答えがこれだと私は感じています。

 

 

摂食障害者の治療のタイミング、治療法

治療は早い段階で繋がればそれが一番良いと思いますが、大事な時期は患者様が過食になった時だと思っています。

患者様が食事を制限することに限界がきて過食になった時、必ず心が揺れます。

その時に治療者に助けを求めてくることが多いと思いますので、そのタイミングは絶対に逃してはいけないと思います。

 

治療法はたくさん提唱されていますが、私はA-Tスプリットの体制が絶対に不可欠だと思っています。

 

A-Tスプリットとは、管理医と治療実践者が分離し、お互いがお互いの仕事をしながら協力・連携していく、という治療体制です。

 

摂食障害は正しい食事の習慣をつけたり、最初に決めた食事のルール、体重管理のルールを順守してもらう必要があります。

普通の食事を普通に食べて、普通の体重になることは治療上絶対に不可欠です。

そのような健康管理・患者様ご家族への心理教育・家族相談・多職種への指示などを多担当する管理医がいて、治療実践者(多くの場合、臨床心理士精神科医)が患者様の心理的な治療を行う、という形です。

 

これが実践できるのは多くの場合、精神科での入院治療になると思います。

 

入院中は食事の管理であったり、精神的に不安定になった場合の支えは、多くの場合看護師が担います。

非常に大変な役割となるので、ここでも必ず連携が必要です。

 

ご家族の支えももちろん大切です。

ご家族が摂食障害に理解を示し、患者様の心の揺れに一緒に付き合いつつ、耐えていく、という過程は必ず通ると思います。

 

患者様もご家族も、治療者も本当に大変な思いをしますが、時間をかければ摂食障害の方が変化をしていく可能性はあります。

 

 

摂食障害者の完治とは?

摂食障害者が治る、というのはどのようなことを指すのでしょうか。

吐かなくなる、少し痩せてはいるけど、以前ほどではない、仕事をするようになった、性格が柔らかくなった、このような状態でしょうか?

もちろんそれも一つの指標だと思います。

しかし私は絶対に外せないポイントがあると思っています。

それは、

苦しみを苦しみとして感じることができること

です。

 

前述したように、摂食障害者は苦しい思いを感じたり心で消化することができません。

だからこそ食物と一緒に身体の外に出してしまうのです。

摂食障害者が一見冷たく見えるのはそのためです。

冷たいのではなく普通の人が悲しむような出来事に耐えられないから、外に出してしまっているだけなのです。

 

だからこそ、「ああ私今悲しい」「苦しい」と感じつつ、それを外に出さずに心で抱えることができる、普通の人がやるのと同じように適切に対処ができる、このことが大切なんです。

 

これができないままだと、いくら身体が健康になっても心は虚しいままです。

そしてその虚しさは一生涯続いていくのです。

 

おわりに

摂食障害は難病です。

しかしできるだけ早く専門機関に繋がり治療体制を作れれば、幸せを感じて生きていくこともできます。

 

治療先は精神科ですが、摂食障害の治療経験がある医師のもとでの治療が望ましいと思います。

 

摂食障害の方が適切な治療に繋がり、誰でも持っていて当然の自分の弱さも認めながら、幸せになることを心から祈っています。